らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【テレビ番組】大河ドラマ 花燃ゆ9

 



 
 
第27話「妻のたたかい」


高杉晋作の盟友にしてライバル、久坂玄瑞は、
蛤御門の変にて志半ばで最期を遂げました。
そして、その他の松下村塾の仲間たちもまた。

松下村塾四天王といわれた人間の三人までもが死に、
残るは、高杉ひとりだけとなりました。

現段階で、もう十分どん底だと思われるかもしれませんが、
しかし、まだ長州は、これでも底までいっていなかったのです。

この直後、米英蘭仏四か国連合艦隊による圧倒的な攻撃、
幕府大号令による第一次長州征伐の発令。
その軍勢15万。それに対する長州勢4千。

これから先はなおさら一層、
高杉晋作の人生は苦難の連続です。

逃げ出したい。。
自分なら思わずそう思ってしまいます。
尊敬する師や相談できる友も既に亡く、
あるのは、今は牢の中にある、ただひとつ自分の身あるのみ。

挫け、心が折れそうになったことは 一度や二度ではないでしょう。
自分の目指そうとしている志の世の中は、本当にあるのだろうか。
あったとしても、本当に実現できるものなのか。
ただの幻を求めて、自分は彷徨(さまよ)っいるだけではないのだろうか。

未来に対する不安が、次から次へと彼に湧き起こっていたに違いありません。

スムーズに進むことは何ひとつない 。
いつもどこかで何かしらに躓いて、
その度に再び立ち上がって歩み出さねばならない。

普通の人間であれば、その未来への重圧で、
心が押しつぶされてしまったに違いありません。

今回の放送は、高杉のそのあたりの苦悩がよく表現されていたように思います。


しかし、彼は今を生きた。
今その時を生きることに全力を尽くしたのだと感じます。
心に張り付いている余計なものを全て捨て去って、今を生きた。

着流しに三味線。
高杉晋作といえば、よく描かれるその服装。
その姿は、彼自身の生きざまを象徴しているように思います 。
未来に飛んでくるかもしれない鉄砲の玉や矢を、
あらかじめ、がちがちに固めた鎧兜で守るのではなく、
今吹いている風を直接肌に受け、それを感じて、全力で生きる。

今の世の中は、保険社会だといわれています。
未来への不安をできるだけ取り除き、
セーフティーネットをはって安全に生きる。
これが一番幸せな生き方だと考えている人も多い昨今です。

しかし、ドラマの中の言葉を借りれば、
果たして、それで命を存分に使い果たしたといえるのか。
ああ、何事もなく、安全に人生を送れた。
ということで命を使い切ったといえるのだろうか。

このような未来への不安に脅え、ともすれば閉じ籠る世の中に、
一石を投じるものが、彼の人生の中には確かにあります。

できれば、そういうものを感じさせるドラマであると願っていますし、
自分は、今後の展開で、それを期待しています。

土曜日、この記事のストーリーが再放送されますので、
興味のある方はぜひご覧になってみてください。
http://www.nhk.or.jp/hanamoyu/story/story_27.html








こちらの絵は、懇意にさせていただいているtatchanさんによる作品です。
この記事のイメージにぴったりでしたので、
半ば無理にお願いしてお借りしました。
また、こちらのサイトについては、追って紹介させていただきます。