らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【クラシック音楽】ラ・フォル・ジュルネ ヴィヴァルディ スターバト・マーテル

 
非常に楽しみにしておりまして、1週間くらい前からワクワクして、
当日は引き絞りに絞って放たれた矢のように、会場に突進しました(笑)

今回一番最初だったコンサートがこちらです。


ヴィヴァルディ:あなた方の聖なる君主のために RV 633
ヴィヴァルディ:スターバト・マーテル RV621
ヴィヴァルディ:ニシ・ドミヌス RV608


カルロス・メナ (カウンターテナー)
リチェルカール・コンソート (室内アンサンブル)
フィリップ・ピエルロ (指揮)



ヴィヴァルディの「スターバト・マーテル 」。
知る人ぞ知る名曲ですが 、
音楽祭オフィシャルの曲紹介には、このようにあります。
 
多くの作曲家が音楽化した「スターバト・マーテル」(悲しみの聖母)は、
エスの受難に接した母マリアの心の痛みを追体験する詩。
演奏機会の稀なヴィヴァルディ版は必聴。


そう、前にもお話ししましたが、自分はこの曲のコンサートを探し続けて、
およそ20年にしてやっと巡り会いました(^_^;)
おそらく、日本でこの曲を愛好している人は、僅かしかいないであろう、
ある意味、マニアックな曲なのですが、
1500人のキャパをもつ会場のなんと2/3が埋まっており、
日本中のマニアが集結しました(笑)

待ちに待ったコンサートですから、
おおげさなようですが、一音も聴き漏らさぬように、
割れ物を扱うように、そおっと、丁寧に丁寧に聴きました。

体全体で音楽にゆっくり浸るように・・・

すごく良かったです。
自分は普段イヤホンで音楽を聴きますが、
音楽というものは耳だけで聴くのではなく、やはり体全体で聴くものなんですね。

前からわかっていたつもりだったのですが、
今回それを実感しました。

空気を直に伝わる振動を体全体で受け留めて、ぶるぶると心が共鳴する充足感。
おそらく、それが音楽を聴く本来のかたちなんでしょう。
本当に素晴らしいことです。

このスターバトマーテルは声楽曲ですけれども、
器楽パートの弦も非常に美しい曲です。
有名なヴァイオリン協奏曲「四季」もそうですが、
ヴィヴァルディの作曲する弦の調べは、ひときわ艶やかで美しいのです。
今回のカウンターテナーの方は抑揚つけすぎず、声量豊かで、
美しい弦の音色と絡ませなから、のびやかに歌い上げてくれました。
いや、語り上げてくれたというべきでしょうか。

こういう世界的な声楽家の方というのは、
声量が豊かで、ブレがなく、すきとおった、実に美しい声なんです。
本当に久々に美しい弦の音と美しい声を堪能しました。

観客も精鋭揃いだけあって(笑)
息をしているのかしていないのか分からないくらいの静けさ。
両隣に座っている人の気配が全くしないのです(^o^;)
しかし、それは、落ち着いた、いい緊張感ある静けさでした。
そのような会場の雰囲気の中、
朗々と、悲しみの聖母は流れてゆきました。

実は、日本に先立って、フランスのナントで行われた公演の模様が、
しかし、聴いてみて、同じ演奏者なのに、何かが違う。
何が違うのか。
ナントのそれは、良きも悪きもコンサートの賑やかな空気の中のものなんです。
しかし、自分が生で聴いた演奏は、しんと静まりかえった大聖堂で、
声がおごそかに響いてくるような、そんな感じに聴こえました。
自分にとってそれは非常に得難い素晴らしい体験でした。
 
 




 
ミケランジェロの「ピエタ

このピエタのイメージに最も合っているのは、
ヴィヴァルディのスターバト・マーテルのように自分は感じます。
(参考記事) http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/10558133.html