らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【テレビ番組】大河ドラマ 花燃ゆ5



 

第18回 「龍馬登場!」


今回、坂本龍馬が初登場しました。
長州メインのこのドラマでは、吉田松陰亡き後、高杉晋作らと共に闘い、
主役級の役割を果たす坂本龍馬ですが、
実は、前の大河ドラマ「八重の桜」での坂本龍馬初登場のシーンを書いた記事がありますので、
よかったら、そちらをご覧になってみてください。
 http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/11377276.html

なぜ、両者に、坂本龍馬の扱いにこれほど差があるのか。
それには理由があります。


幕末の長州薩摩というように、維新をリードした側の人々というのは、
その政治的立場や敵味方が目まぐるしく変わり、
なかなか現代の我々にも理解できないところがあります。

しかし、それを非常に簡単に説明しようとするならば、
彼らは、常に、柔軟に、よりベターな選択はどちらかという視点に立って考え、それを実践できた、
ということがあるのではないかと感じています。

一見、ベターな選択よりも、ベストな選択を目指すべきなのではないか、
と思われるかもしれません。
しかし、ベストな選択というのは、
得てして決定するのに非常に時間のかかるものですし、
かつ、一旦為されたベストな選択というものは、
時間と費用をかけているだけに、変更されにくいものです。

坂本龍馬の家は、先祖代々の武士ではなく、商人が武士の名義を買った家です。
龍馬の子供の頃には金融業なども営み、かなり裕福でした。
商行為というのは、常に迅速な臨機応変の判断が求められるもので、
ベターな判断を積み重ね、絶えず修正していくものです。
ですから、龍馬は相手が何を必要としているかに聡(さと)い、
武士としては特異の人物だったのでしょう。
とすれば、彼が薩摩と長州に重宝がられ、
両者の同盟の仲立の役割を果たしたことは、決して偶然ではありませんし、
まさに時代の申し子であったとすらいえると思います。

幕末においては、時代がめまぐるしく変化し、
常にベターの選択、つまり、どちがより目的に到達するのに早いのかという嗅覚に優れ、
それを行動に移すことのできた者が、
時代のイニシアチブを取ったのだと感じます。

このような立場に立つ者を「変節」という人もいるでしょう。
しかし、この時代、変節と蔑んで、変化に鈍かった者たちは、次々と敗れていきました。
いわゆる、幕府方というのは 神君家康が徳川幕府を守るためベストとした幕藩体制墨守し、
それに固執した人たちです。
会津藩などというものは、その最たるものだと感じます。
幕府方には、いわゆる改革派の人々もいましたが、
いかんせん二百数十年、自ら変化することがなかった(変化する必要がなかった)為、
幕府の古来からの伝統的な枠組みや、守旧派に足を取られることもあり、動きが鈍かった。

なお、ベターの選択ということを強調しすぎると、
いわゆる利にさとい、功利主義的な人間を想像するかもしれませんが、
彼らには熱い理想がありました。
長州の場合においては、吉田松陰の情熱から受け継がれた、
今までの身分制度の枠に囚われず、
日本を近代化し、西洋列強の脅威をはねのけるというものですが、
彼らの後継者達は、その熱い心を持ち、
かつ冷静な価値判断のできる冷たい頭を持つ人々だったのです。

幕府側にも、もちろん熱い思いを持っている人たちはいました。
しかし、彼らは、従来の枠を脱することができず、
より迅速に目的に資する行動に昇華することができなかった。

そこが真の勝者と敗者を分けた理由のひとつなのではないかと自分は考えています。


さて、今回、坂本龍馬が初登場しましたが、
この頃の彼はまだ土佐藩士(郷士)でした。

この、長州訪問の際、吉田松陰の「草莽崛起(そうもうくっき)」の思想に大いに共感したということですが、
草莽崛起(そうもうくっき)」とは、
志を持った在野の一般の人々こそ、世の中を変えるために立ち上がるべきだという意味であり 、
この数ヵ月後、龍馬は土佐藩を脱藩して、
いわゆる、自分たちがよく知っている坂本龍馬になるのですが、
幕府及び藩、ひいては武士という幕藩体制の枠組みで、
物事を捉えるのでは古いと感じた龍馬の初めの一歩であるといえます。

龍馬流の「草莽崛起(そうもうくっき)」 の考え方は、
後に彼が立ち上げた海援隊の運営の仕方や言動の節々に垣間見られますが、
それについては後に譲るとして、
坂本龍馬吉田松陰に一度も会ったことはありませんけれども、
松陰の思想を最も実践した人間の一人といってよいと自分は評価しています。
 
 
 
 




初登場伊原剛志さん演ずる坂本龍馬
野性味あふれる奔放な感じのキャラはいいのですが、
ちょっとおっさんくさいのが気になります(笑)