らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【クラシック音楽】ラ・フォル・ジュルネ ドヴォルザーク チェロ協奏曲

 

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 op.104

エドガー・モロー (チェロ)
シンフォニア・ヴァルソヴィア
ロベルト・トレヴィーノ (指揮)



先の記事、交響詩野鳩」についで演奏された曲になります。

ドボルザークのチェロ協奏曲は、クラシック音楽の超有名曲ですが、
この曲には特に思い入れがあり、何枚か同曲のCDを持っています。
自分が好きなタイプの演奏は、 デュプレやマイスキーのような情熱の溢れる演奏で、
ヨーヨーマやロストロポーヴィッチのような、いわゆる朗々とした巧い演奏はあまり好みではありません。

今回の演奏、まず、自分の耳を惹き付けたのは、
独奏のチェロではなく、オーケストラの音色でした。
ともすれば音がはみ出してしまうような、重厚でずんずんと迫ってくるような迫力は、
これまでに自分が聴いた、どの演奏の中でも、
最もベストのひとつであることは間違いありません。
その迫力がぎりぎりのところで音楽に留まっているというのは、指揮者の力量でしょう。

それに対して、独奏のチェロは非常に洗練された、濁りの無い音で、
どちらかというと、本来、自分のタイプの音色ではないのですが、 
それでも、この演奏に限っては非常によかったと思います。
ただ、オケの音色に感じ入るところ大でしたので、 
多少、チェロの音色が位負けしてしまっているようにも感じましたが、
しかしながら、これはかなりの名演奏であったのは確かです。

ただひとつ残念だったのは、この曲の第3楽章中間部で、
自分の大好きなヴァイオリンとチェロの二重奏の部分があるのですが 、
コンサートマスターのヴァイオリンが、自分のパートを弾くのに一生懸命で、
二つの音を紡ぎ合わせて、天の高みに昇っていくという
インスピレーションがあまり無かったところが惜しかった。

しかし、それを差し引いても非常に素晴らしい演奏が、
1500円で聴けたのですから、そんなに文句は言えません。

あと、ひとつ、実は大変素晴らしい事が演奏後にありました。

日本のコンサートは忙しい人が多いのか、
演奏が終わると、素晴らしい演奏をしても、拍手もそこそこにすぐ席を立ってしまう人が多いのですが、
この演奏に関しては、観客は演奏者に対する賛辞を惜しまず、
演奏者が舞台の袖に下がるまで見送り、音楽の余韻を楽しむ余裕があったということです。

自分は、これを見て、演奏も素晴らしかったけれども、
この観客の方々も素晴らしいなと思った矢先、
独奏者のチェリストが舞台に再び現れ、アンコールを演奏してくれたのです。
曲は、バッハ 無伴奏組曲第3曲サラバンド

こういうチケットが廉価に抑えられたコンサートでは、
アンコール演奏はしないのが暗黙の了解のようになっているのですが、
彼は演奏の余韻をいつまでも愉しんでくれる観客に応えてくれたのでしょうか。

それは、彼の、透明で濁りの無い音色が生き生きとした素晴らしいバッハでした。





エドガー・モロー
1994年生まれ。21歳。
17歳でチャイコフスキー・コンクール2位および現代作品最優秀演奏者賞。
パリ国立音楽院にてP.ミュレールに師事。



ドヴォルザーク チェロ協奏曲は大変素晴らしい名曲です。
一応ここにタイプの違う名演奏を挙げておきます。
よかったら、本や雑誌でも読みながら聴き比べてみてください。

ヨーヨーマ
https://www.youtube.com/watch?v=ftNQzZ8NkRY

デュプレ