らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【美術】エロール・ル・カインの魔術展











 
先日、横浜そごうで催されている「エロール・ル・カインの魔術展」に行ってきました。
https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/15/errole/index.html
御存じない方もいらっしゃると思いますので、
ともあれ、まずその作品の数々をご覧ください。

艶やかな極彩色をふんだんに使って醸し出される、不思議な世界。
じっと見ていると、思わずその世界に吸い寄せられてしまうような、
魅力といいますか、魔力といいますか、独特の不可思議な雰囲気に溢れています。

遠目から見ると、まるで絹の織物のような、柔らかな、しなやかさを感じさせる絵なのですが、
ごく至近で見ますと、まるで小さな米粒に絵を描き込んでいるような、精密さと繊細さに驚かされます。
家々の屋根瓦の一枚一枚、人物の髪の毛の一本一本、ドレスのレースのひとつひとつまで
丁寧に、美しく施されている。

どの作品も、最初、なにげに見ていても、
そのうち、まるで魔法にでもかかったように、じつと見入ってしまうんです。

これだけ鮮やかな色彩をふんだんに使った絵を、
長い時間見ていれば、目がチカチカしてしまうのではないかと思ってしまいますが、
不思議なことに、そんなことはないのです。
決して奇抜でキテレツではなく、
ビロードのように心地好いといいますか、そんなこころもちの作品なんです。

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作者のエロール・ル・カインという人はイギリス人なのですが、
母はアジア人であり、フランス系カナダ人の血脈を曾祖父にもち、
シンガポールに生まれ、インドに育ち、仏教にも帰依していたという
様々な人種の感性がブレンドされた、ある意味、面白い人なのですが、
彼の外観同様、西洋をベースとしながらも、
様々な感性が混ざり合って、作品に柔らかい独特の魅力を醸し出しているように感じました。
ブレンドされたものがそれぞれの良さを引き立て合っているというんでしょうか。


この展覧会、自分も見に行きたいけれど、近くで開催されないので・・・
という人もご心配なく。
このエロール・ル・カインの作品は、公立図書館にかなりの数所蔵されているようなんです。
たくさんある作品の中であえてお勧めするならば、3つ。
 

独特の色のラインの美しさならば「アーサー王の剣」、
 
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細やかな色彩の美しさなら「いばら姫」、
 

 
艶やかな色彩の美しさなら「キャベツ姫」をお勧めします。
 
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 特に「キャベツ姫」のストーリーはエロール・ル・カイン自身の創作であり、
ちょっと偏屈そうな彼の見たくれからは、ちょっと想像できないユーモラスなお話です。
よろしければ、いずれかお好きなものを、ぜひご覧になってみてください。