らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【旅】「京都」 生まれて初めての旅

 
 
 
 
みなさんは生まれて初めて旅をしたところはどこでしょうか。
自分は親戚のいる岐阜や三河(愛知県東部)を除けば、
最初の旅行は京都でした。
小学1年の時のことです。

きっかけは夏休みの学校の課題で、
夏休みにどこかに行った記録、旅行記みたいなものを書いてくること、
というのがありまして、それに便乗する形で。

名古屋から京都までは新幹線で40分程度なので、
名古屋の人間は滅多なことでは京都に宿泊しません。
だいたい日帰りです。
まあ東京の人が鎌倉に行くくらいの感覚でしょうか。
自分も、なにせ当時まだ7歳でしたから、
新幹線に乗ること自体が興奮そのものだったのですが、
興奮がピークに達する遥か前に、
京都に着いてしまうという感覚でした(^_^;)

母が「さあ京都に着いたよ。」と、新幹線のホームから
一緒に京都の街を見渡しますと
東寺の五重塔がちょこんと、そして大きなお寺の屋根がちらほら見えます。
そんな風景は名古屋にはありませんから、
あー、なにか今まで来たことのないところに来たんだなという気持ちでした。

しかし、実際のところ、
この旅行で、どこを回ったかあまり印象に残ってないんです(^^;)
おそらく東寺、清水寺金閣寺渡月橋の辺りではなかったかと思います。

母は学校の宿題のこともあり、行く先々で、一生懸命説明してくれるんです。
 
あれは東本願寺でかくかくしかじか。
わあー、古い建物だなー

ここは清水寺でかくかくしかじか。
わあー、大きくて古い建物だなー
 
まあ非常に大雑把ですけど、
7歳の感想なんてこんなものですよ(^_^;)

金閣寺では、母の方が興奮してましたね。
「もぞ!あれ、金閣寺一休さんで出てくるでしょ。」
当時アニメで「一休さん」というのが放送されていまして、
一休さんに毎回やりこめられる、ちょっとおバカな将軍様足利義満
の住んでいたのが金閣寺なのでした。
自分も思わず、おおっ、一休さんに出てきたのと同じだと思ったものの、
なにか全体的に金箔が黒く薄汚れていて、なんかしょぼいなあ~と(^^;)

そんなこんなで京都をいろいろ回ったのですが、
それにしても夏の京都は暑い。
名古屋の夏も暑いのですが、
京都もどよ~んと空気が溜まるような格別の蒸し暑さで、
釜の底のような暑さとはよく言ったものです。
買ってもらったカップのバニラアイスが、
みるみるうちに溶けてしまう、そんな強烈な暑さでした。

こうして、まあ、とにもかくにも予定通り無事に、
生まれて初めての京都旅行は終わったのでした。


しかし、地獄は家に帰ってから待っていました。
 
宿題の旅行記に手をつけようとしたのですが、
京都のどこが良かったのか全く記憶に残っていないのです(-.-;)
挙げ句、その様子を見て、たまりかねた母が、
つきっきりで宿題の旅行記を書くという最悪の事態に(-_-;)

母は自分にせっつきます。
「京都で、お母さんがいろいろ説明したでしょう。
その中でどこが一番良かったの?」

うーん、わからない、浮かんでこない、
いくら頭をかきむしっても全く思い出せない。

鉛筆をくるくる回しながら1行も書けない自分に対し、
母がさらに語気を強めて
「鉛筆なんか回しとらんで、
あんた、一生懸命考えやあ。
何が一番良かったの!!」

母の強烈な怒りのオーラに煽られて、
もう自分の頭の中はパニック状態に。

しかし、なおも母の追及は続きます。
その怒りに煮えたぎった顔を見て、
もはや、ああ~ああ~と怯えの声しか出せない自分(^_^;)

遂には、母の圧倒的迫力に押し出されるように、
「きょ、京都で、一番楽しかったことは…」
と思わず言いかけると、
母はもはや猶予を与えません。
「京都で一番楽しかったことは何なの?!!」

「た、楽しかったことは、あ、あ、アイスクリームを食べたこと…」

その瞬間、母がついにキレた!(^_^;)

「アイスクリームだったら!!
わざわざ京都まで行かんでも!!
名古屋の家にいても食べられるでしょうが!!」

「うわあ~!」

自分、この断末魔の叫びから、
その後数分間くらいの間の記憶がないんです(^_^;)
母親から、どつかれたとか叩かれたとか
そんなことは無かったんですよ。
ウチの母は自分に手を出すということは、皆無でしたので。

しかしあの時、その場をどう収めたのか全く記憶がない(^_^;)
迫りくる、あまりもの恐怖に、
脳が記憶を自動消去してしまったのでしょうか(^_^;)

しかしその後、すでに目が死んだ、木偶人形のように、
母の言うがままに宿題の旅行記を書き写す
自分の姿がそこにありました。

母は、一生懸命息子を旅行に連れて行ったんでしょうね。
少しでもいい思い出をと思って必死だったんでしょう。
しかしそれに全く応えようとしない息子(^_^;)

まあ、母も30になったばかりで、
まだ若く血気盛んな時期でもあったんでしょう。

しかし、ここでひとつだけ、
世のお母さま方に申し上げたいことがあります。
小学校低学年で文化的史跡の旅は、非常に厳しいです(^_^;)
そんな、小さな子供に、寺の見分けなんてつきませんよ。
小さいうちは海とか山とか感覚的に理解できるところに
旅行されることをお勧めます。
文化的史跡の旅は、まあ小学校高学年、
5、6年生くらいからでしょうね。

自分と同じ犠牲者を出さないためにも(^_^;)
このことを覚えておいていただけると幸いです。