【テレビ番組】ドラマ「誘惑」

  

自分が中学生の時、世間はアイドル全盛期で、
同級生はいろいろなアイドルのファンでした。
が、しかし、自分は渋く？女優紺野美沙子さんのファンでした。
同級生からは年増好きとか、もっと若いのを選べよと散々批判されましたが(^^;)
でも、実は同級生にもう１人紺野美沙子さんファンの友達がいたんです。

そんな彼から、ある夜、突然電話が。
「もぞ！ちょ、ちょっと、すぐテレビつけてみろ！
紺野さんがすごいラブシーンしとるぞ！」
当時は携帯のワンゼグもありませんし、
自分の部屋にテレビもありませんでした。
家には居間に１台だけ。

 

家族もいるので、ラブシーンの最中のドラマに
チャンネルを変えるわけにもいかず(^_^;)
「今、テレビ見れんから、どんな感じか電話で教えてくれ。」
と言うと、
「おう、わかった。ええっと…うわっ、マジで…
うわっ。えぇ～、そんなあ…ああ～」
友達の悶え苦しむ声が電話口から聞こえてくるだけで、
結局、具体的な内容は全くわからずじまい(笑)

その、友達が悶え苦しんで見ていたテレビドラマとは、こちらの番組です。

１９９０年に放送された「誘惑」。
主演は篠ひろ子、紺野美沙子。
その他の出演者は林隆三、宇都宮隆、吉田栄作など。

 

これまで清純派女優だった紺野美沙子演じる魔性の女が、
夫（林隆三）、長男（吉田栄作）と次々に誘惑し、籠絡し家族を破壊していく。
夫を奪われ、家庭をもバラバラにされた篠ひろ子演じる妻が
その不倫相手に復讐をし、家族を取り戻そうとする濃密な愛憎劇です。

間違っても中学生が見るようなドラマではありませんね(^_^;)

中学生には不倫だの愛憎だのよくわかりませんから、
ひたすら紺野美沙子さん目当てで見ていたのですが、
やはりテーマがテーマなだけに、
何か濃厚で息苦しいような感じのドラマだった記憶があります。

昔、不倫は文化と言って叩かれたタレントがいましたが、
文化とまでいえるかはともかく、
捉え方によっては、芸術のテーマのひとつであるとはいえるかもしれません。

このドラマでは主人公の妻は、夫の不倫により壊れてしまった家庭を

元通りにしようと闘う、ある意味、たくましい妻です。

で、紺野美沙子さん演じる不倫相手の女の魔の手は妻にも伸び、
妻にも不倫するように仕向けるのですが、
女とぐるになり、篠ひろ子さん演じる妻を誘惑する男として出演していたのが、
以前紹介したことのある宇都宮隆さんですよ。

（参照記事）http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/11398840.html

こんな優男に迫らたら、どんな身持ちの堅い人妻でも陥ちざるを得ない…と思いきや、
宇都宮さん、台詞がひどい棒読みだったんです(^^;)

「僕は奥さんを愛してしまったんだー（棒）」（笑）

中学生の目で見ても、ぐっと緊張感が増してくる場面で
宇都宮さんが喋ると、緊張感がふっと抜けるといいますか(^_^;)悪い意味で。


結局、このドラマ、自分が見たのは３～４回分だけで、
最終回は、妻が不倫相手の女から夫と家族を取り戻して、

元通りの平穏な生活に戻っていくという結末となります。

しかし、このように、一旦バラバラになってしまったものが、
きちんと元通りになるものなんでしょうか。
あたかも、こなごなになってしまった陶器を、
にわかでくっつけるようなもので、
外見は元通りになったように見えても、
ひとたび些細な衝撃でもあれば、
簡単にバラバラになってしまうような気もします。
人間の一度喪失した信頼感の脆（もろ）さというものからすれば。

そして、紺野美沙子さんのラブシーンについては、
残念ながら？自分の見た回では、
ついぞお目にかかることはありませんでした。
友達のあの悶え方が尋常でなかったので、
どういうシーンだったのか一度は見てみたいんですけども(^^;)


そして、このドラマの主題歌である山下達郎の「Endless Game」
この曲は山下達郎自身が、このドラマの脚本を読み込んで、
そのイメージをもとに作詞作曲したもので、
虚無感漂う静けさがあり、哀しくエロティックで激しくもあります。

ドラマの映像は、今見ると、やや古さを感じてしまいますが、
山下達郎さんの歌は古さを感じさせない。

ドラマの脚本から感じ取った登場人物の心の絡み模様を、
じっくりと見つめ、抽出し、それを昇華した感じの曲と詞になっています。

自分が山下達郎というアーティストの素晴らしさに初めて目覚めたきっかけ。
それがこの「誘惑」というドラマであり、
それゆえ今でも自分の心に残るものとして今に至っています。


（オリジナルバージョン）http://www.youtube.com/watch?v=H4xQL9H1Zwk