らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【テレビ番組】大河ドラマにおける本能寺の変





先日記事にしました小説「鬼と人と 信長と光秀」ですが、
信長といいますと、やはりそのクライマックスは本能寺の変。

ただし、この作品の本能寺の変の描写は、甚だドラマチックに欠けるといいますか、
緻密な分析に説得力はあるのですが、心沸き立たせるものをあまり感じさせません。
このあたりが堺屋太一作品の不満な点なのですが、
本能寺の変と申しますと、やはり歴史ドラマの見せ場ということになります。

歴史ドラマといえば、大河ドラマ。
その中の本能寺の変自分的お気に入りを挙げるとするならば、 
2002年の「利家とまつ」反町隆史さん演じる信長でしょうか。







これは、信長配下の武将であった前田利家とその妻まつを主人公としたドラマなのですが、
前田利家は、信長と密接に関わっていた人物ゆえ、
信長の主なエピソードは、ドラマの中で、ほとんど網羅されています。

この信長は反町さん自身のイメージに反して(^_^;)
非常に理性的で知的な信長であり、なかなか良かったと思います。

さて本能寺の変のシーンですが、
脚本的には、太田牛一「信長公記」の記述にまずまず忠実に沿っていると言えます。

そして意外と細いところにも気を使っています。

まず信長の「で、あるか」の口癖。
これは史実上、本当の信長の口癖なんです。
「で、あるの」「で、あるか」「で、あるか」
ちょっと連発し過ぎの感もありますが(笑) 
そのひとつの言葉だけで、信長の心情の移り変わりを表現しているという脚本なのでしょう。


あと、信長の側に控えていた毛利新助なる武士。
彼は実を言いますと、桶狭間の合戦で今川義元の首を討ち取った人なのです。
その後ずっと信長の近習を務め、本能寺の変で討死していますので、
ほぼ信長のすべてを間近で見ていた人間と言うことができます。

毛利新助が本能寺で出てくるものというのは、ほとんどないので、
自分としては非常に嬉しいものでした。
(実際の彼は本能寺で討死したのではなく、
信長の長男信忠と行動を共にし二条城で討死したようです。
ただし本能寺境内にある本能寺の変戦没者合祀の墓の中には、
毛利新介の名前も記載されています。)


それから、この本能寺の変、みどころは、なんといってもショーケンの明智光秀でしょう。






鬼気迫る白い顔の迫力は、以前彼が主演した映画「八つ墓村」を彷彿とさせるところがあります。

この光秀、声の裏返りが甚だしいですが(笑)
繊細なインテリジェンスの心が切れた時の感じをよく捉えていますし、
何かに取り憑かれるように本能寺を襲った光秀という意味では、非常に秀逸なのではないでしょうか。


あとウエンツ君の森蘭丸も美しいですね。
実は以前、横浜駅でプライベートのウエンツ君を見たことがあるのですが、
本当に天使のように白くて透き通った綺麗な男の子でした。


そのほか、「是非に及ばず」は、意味合い的にも、
もうちょっと静かに悟ったような感じで言って欲しかったとか、
反町さんの最後の敦盛の舞の回転のスピードが速すぎるなど、
ツッコミどころは多々ありますけれども
全体的には、我を失って暴走する光秀と対比して、
最後まであわてふためくことなく理性的に散る信長を見事に演じたのではないでしょうか。

往年のファンからは重厚さに欠けるという意見もあるでしょうが、
非常に美しい信長であったと思います。