らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【クラシック音楽】同曲異楽器の魅力 山下和仁&ロック

 

前回予告した、リストに勝るとも劣らぬ
素晴らしい編曲能力を有し、かつ、凄腕の演奏家という、
両方に傑出した才能を兼ね備えた人物とは。

その人の名を山下和仁といいます。


 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E4%B8%8B%E5%92%8C%E4%BB%81

細かな経歴はウィキペディアを参照していただきたいのですが、
間違いなく日本が世界に誇る天才ギタリストです。

10代の頃に既にギタリストとして完成されていた彼は、
「独奏楽器として最も表現力豊かなギターに大曲が少ないのは、たいへん残念なこと」
と考え、大曲の編曲に取り掛かり、
前人未到の領域にまでギターの可能性を広げた先駆者です。

編曲というものは、もともとの原調(ハ短調とかイ長調といったもの)を変えれば、
比較的容易に編曲できたりするのですが、
それでは、原曲の風味や良さというものを損なってしまうことがあります。
そこでなるべく原調を維持しつつ、
演奏のテクニックで、それをカバーしようとするのが山下和仁版の編曲で、
その編曲は、途轍もない超絶技巧を要するとされています。

ピアノは全部で88の鍵盤がありますから、
それなりに多彩な表現は可能かと思うのですが、
わずか6弦のギターで同じようなことをやろうとするのは、
至難の技であることは間違いありません。

彼の編曲は、オリジナルの曲で、今まで隠れていた魅力を引き出すこともさることながら、
時にはオリジナルに超える芸術性、音楽性というものを感じることすらあります。

彼の音楽、いや音というべきか、
を自分なりに一言で表すと
「透徹」
というところでしょうか。

最も推薦すべきはバッハの編曲版なんですが、
YouTubeでは残念ながら画像が無いんです。
そこで、ギター連弾ではありますが、
ヴィヴァルディ「四季」を編曲したものを掲載しようと思います。

ヴィヴァルディの「四季」は交響曲よりは構成規模は小さいですが、
十数人で演奏されるヴァイオリン協奏曲です。
春夏秋冬の楽章に分かれ、
ヴィヴァルディが活躍した北イタリア(ヴェネツィア)の
色彩々の四季の移り変わりを音楽にしたものです。
今回は夏と冬を紹介したいと思います。

主旋律はいずれも山下和仁さんが弾いています。


(オリジナル版)http://www.youtube.com/watch?v=TmWTxiXSIFU
(編曲版)http://www.youtube.com/watch?v=X5pURL-DPpQ&feature=BFa&list=ULXUz0a8E57XQ


(オリジナル版)http://www.youtube.com/watch?v=bHVGiD904qQ
(編曲版)アレグロはなし
http://www.youtube.com/watch?v=G6qgxlE1S3c&feature=BFa&list=ULX5pURL-DPpQ



いかがでしょうか。
ほんの少しでも、山下和仁さんの素晴らしさが伝わればよいのですが。

ここで自分がそれについて沢山書いても、
音楽というものは
「百読は一聴に如かず」
の部分がありますので、
山下和仁さんの話題は、これで終わりにしたいと思います。



さて、このようにクラシック音楽の曲の編曲というものは、
様々な難しい問題があり、
クラシックのコンサートなどで取り上げられることはめったにありません。

しかしながら、もっと自由にクラシック音楽
取り入れようとするジャンルの人達も存在します。

例えば、このようなもの。
http://www.youtube.com/watch?v=Hr8DKqzt40s
 
そうです。
ロックのジャンルです。

クラシック音楽のジャンルの人達は、
もはやこれは、バッハではないと否定的な人も大勢います。
なぜなら大きく原曲の楽譜から離れており、
作曲家の意図から外れているという理由です。

確かにこのようなロックは、
バッハの曲にインスピレーションを受けた別の曲といった方がよいかもしれません。

しかし、自分が求めているのは、
「ただしい(正しい)音楽」でなく、
「たのしい(楽しい)音楽」であり、
正しい音楽というのは、楽しい音楽の一要素に過ぎません。

インスピレーションを刺激し、
今まで感じることができなかった魅力を
かいま見せてくれる音楽を、自分は歓迎します。

YouTubeには素人のギタリストの方の、
本当にいろいろな編曲版の演奏があります。
もちろん、拙い演奏も数多くありますが、
ちょっとした熱気みたいなものを感じます。
これはクラシック音楽をやる人にはあまり見受けられないものです。

最後に自分が気に入ったものをいくつか紹介して、
「同曲異楽器の魅力」の記事を終わりにしたいと思います。