らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【旅】タクシー三編

先日、ニューヨークでタクシーに乗った時の話をしましたが、
国内でもいくつか面白い話があるんです。
今回はそれを紹介しようと思います。


「大阪にて」

出張で大阪に行き、新幹線の新大阪の駅からタクシーに乗りました。
季節は5月の今くらいの時分だったと思います。

60代くらいのメガネをかけた、ひょろっとした大村崑さんのような風貌の運転手さん。
車内に乗り込むと、カーステが大音響で野球の阪神戦の実況中。

自分は行き先を告げて
「今年の阪神、調子、すごくいいですよね。」
と話を振ると、もう話が止まらない止まらない。

「そうなんですわ、
なんやら天変地異でも起こるんやないかと思うてしまいますわ。」
「でも最初は調子よういっとっても,
最後にぽこんと読売にやられるパターンやないかと思うてね。」
…というようにず~っと阪神タイガースの話をしていました。
そのうち、この日、阪神の先発した投手が、この前キャバレーで女の子を云々というような、
どこで仕入れたのかわからないようなマル秘?情報まで延々と(^_^;)

そして目的地に到着した時、事件は起こりました。

「しもた!タクシーのメーター下ろすの忘れとった!
ああ~、しもた~、お客さん、得しなはりましたわ~」
そうなんです。
運転手さんは、乗車するなり阪神タイガースの話を始めたので、
タクシーのメーターを下ろさずに走り出してしまっていたのです(@_@;)

慌ててメーターを下ろしましたが、もはや後の祭り。

でも初乗り分だけではお気の毒でしたので、
「あの~、これタバコ代にでも…」
と本来払ったであろう金額を運転手にお渡しました。
すると運転手さんは
「いや、そんな…いや~すんまへん、すんまへん。
そんではありがたくちょうだいします。おおきにおおきに。」
と妙に恐縮?して受け取られました。

いかにもザ・大阪というような感じの運転手さんでした。

なお、記事中の大阪弁については忠実に再現したつもりですが、
誤りがあるかもしれません。
大阪の方、誤りありましたらどうぞご指摘ください(^^;)

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「小倉にて」

福岡県北九州市小倉駅に降り立った時のこと。
駅からタクシーに乗って小倉にある合同庁舎に向かいました。

タクシーの運転手さんはちょっとお年を召した70歳前後の方だったでしょうか。
その方に
おぐら合同庁舎お願いします。」
と行き先を言っても黙ったまま。
聞こえなかったのかなと「あのー、おぐら合同庁舎までお願いします。」
と言うと、初めて口を開き、
おぐらじゃない。こ・く・ら」
と一文字一文字念を押されるように言われてしまいました。
いや~、間違いとはいえ、本当に失礼なことを言ってしまいました(^^;)
伝統ある小倉の地を、小豆を茹でた食べ物と同じものに言ってしまうとは(^_^;)

皆さん、福岡県北九州市にある小倉は「おぐら」ではありません。
「こくら」です。

知っていたはずなんですけど、なぜかその時は「おぐら」と言ったんですよ。
お腹でもすいていたのかな(^_^;)


「鹿児島にて」

これは厳密にはタクシーの話ではないんですが、ここで紹介します。

その時、自分は午前中にどうしても鹿児島市内にある役所に入らなくてはならず、
非常に焦っていました。
というのは朝一番の飛行機で鹿児島に到着したものの、
鹿児島空港から市内中心部までかなり距離があるため、
空港から急いで市内に向かうバスに乗ったものの、時間がギリギリだったからです。
しかも途中の車線規制などで、バスも遅れ気味でした。

そのバスはJR鹿児島駅などを経由して、最終到着地が市役所前になってまして、
そこが、自分の目的地の最寄りでした。

途中のJRの駅のバス停などで全ての乗客が降り、
最終到着地に向かうバスの乗客は、自分一人になっていました。
時間は11時40分。
もう時間がありません。

思いあまって自分は、バスの運転手さんに
「すみません。
午前中にどうしても到着しなければいけない所があって、
本当に無理なお願いなんですけど、
ちょっと飛ばしていただいてよろしいでしょうか」
とおそるおそるお願いすると、
運転手さんはこちらを見てニヤリとしたかと思うと、無言のまま猛然とスピードを上げ始めました。
道も空いていたこともありましたが、
すごいスピードで、バスのお尻がややダッチロール気味に振られる感じ。

自分も振り落とされないように?必死に運転手さんのすぐ後ろの席にしがみついていました。
途中、道に段差のあったところでは、勢い余ってバスが宙を飛んでしまうほど。
だってバスが地面に着地する感触ありましたもの。

その時、思わず「うおっ!」っと言うような声を出してしまいましたが、
運転手さんは
「これが鹿児島だぜ」とか「これが薩摩の流儀でごわす」的なニューヨークのタクシーの運転手さんのようなセリフは言いませんでしたね。
ただ黙々とスピードを上げ、目的地に向かって運転するのみ。

そのおかげあって、11時47分頃最終のバス停に到着。
目的地の役所には55分頃着くことができました
(12時過ぎると役所全体がお昼休みになるため、受付業務をしてもらえないのです)。

バスを降り際、自分は運転手さんに
「なんとか間に合いそうです。どうもありがとうございました。無理言ってすみませんでした。」
と言うと、運転手さんは僕の顔を見てニヤリとしましたが、一言も発しませんでした。

さすが、薩摩隼人
男らしく、黙して頼りになる…西郷さんみたい。


以上旅先でのタクシーにまつわる三編でした(^^)