らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

「ルドルフとイッパイアッテナ」斉藤洋








ひょんなことで、岐阜から東京にトラックの荷台に乗ってやって来てしまった
迷い猫ルドルフと、地元の野良猫イッパイアッテナが東京の下町で繰り広げる人(猫)生劇。

この作品、ちょっと前に映画化されまして、
簡単なあらすじと物語の雰囲気はこちらの予告編をご覧ください。


https://luckynow.pics/rudolf-ippaiattena/


自分は、この作品、かつてNHKで番組にされているものを見ていました。
ちょうど朝出かける時間帯で、10分くらいの番組だったでしょうか。
毒蝮三太夫さんの一人語りで、可愛らしい挿し絵の、
変哲もない日常の中で猫達が出会う刺激や発見のエピソードがとても面白く、
自分としては、ディズニーアニメ風の映画よりも、
こちらの挿し絵と朗読風の語りの方に親しみがあります。







猫の視点で人間の社会を見ると言いますと、
夏目漱石吾輩は猫である」がピンと来ますが、
この物語、「吾輩は猫である」よりも、より猫的な視点に立ったものといいますか。
漱石の猫は、ちょっと理屈っぽくて粘着質ですが(笑)
ルドルフとイッパイアッテナの猫達は素直でとても猫らしい可愛いらしさを感じます。

ところで、この作品、自分は偶然テレビで目にしたので、
結末がどうなるかということを知りませんでした。

この物語、ルドルフとイッパイアッテナの日常の面白さもさることながら、
黒猫のルドルフが、果たして飼い主のリエちゃんの元に戻れるかどうか。
それがどうなるかドキドキそわそわしていたのですが、
ルドルフが東京に来て1年が経ち、諦めかけていた頃、
仲間の猫の助けによって、無事岐阜行きの車に乗ることができ、
飼い主のリエちゃんと感動の再会を果たします。

しかし、そこでは、新しい黒い子猫が飼われていて、
その子猫にルドルフと名付け、可愛がられていたのでした。
居なくなったルドルフの代わりに、悲しみを忘れるために飼い始めたのでしょう。

そして、リエちゃんの家では猫は一匹しか飼えないことを知っていたルドルフは、
そっとそのままリエちゃんの元を去る決意をします。

なんたる日本人的気遣いの猫(^_^;)
いや、この結末は映画「ひまわり」にも似ていますので、
日本人的というのはちょっと適当ではないかもしれません。

ソフィア・ローレン主演の「ひまわり」。
ご存知ですか(^^)



猫にそんな細かい気遣い要らないですよ(笑)
自分は、1年を経て、ひょっこり戻ってきたルドルフとリエちゃんの感動の再会を想像して、
それを楽しみにしていました。
自分的には、ひまわり的結末よりも、母をたずねて三千里的結末を期待していましたので、
正直この結末を知った時、ええっ!?と驚くとともに心が暗くなりました(笑)
そして、バックには、映画「ひまわり」のテーマ曲が(笑)

結局、ルドルフは東京に戻り、イッパイアッテ達仲間たちと生きていく道を選ぶのですが、
自分としては、リエちゃんと弟分の黒い子猫と2匹で、楽しく暮らして欲しかったと、
ランスの顔を見て、つくづくそう思います。
もし、今、ランスが居なくなって、1年経って、ひょっこり現れでもしたら、
その喜びは心臓がばくばくして破けんばかりの、表現できないものでしょうから。