「あこがれ」阿部昭 教科書名短篇より
自分は読書ブログを始めてから久しく経ちますが、
その作品のほとんどは、短編もしくは単行本で150ページほどの中編で、
長編の作品はほとんどありません。
それはなぜかと言いますと、
自分の性分的に一気に作品を読み切らないと、
物語がひとつの塊として心に残らない。
一旦中断してしまうと、その物語の雰囲気にすっぽり浸かっていた、
その空気感みたいなものがどこかに吹き飛んでしまって、
再開する時に、その空気感を思い出すところから、
その作品のほとんどは、短編もしくは単行本で150ページほどの中編で、
長編の作品はほとんどありません。
それはなぜかと言いますと、
自分の性分的に一気に作品を読み切らないと、
物語がひとつの塊として心に残らない。
一旦中断してしまうと、その物語の雰囲気にすっぽり浸かっていた、
その空気感みたいなものがどこかに吹き飛んでしまって、
再開する時に、その空気感を思い出すところから、
また始めなければならない。
そんな融通の効かない性格に依るところが多いためです(^_^;)
そんな自分に打ってつけの本を図書館で見つけました。
教科書名短篇「少年時代」
http://i.bookmeter.com/b/4122062470
ヘッセ、永井龍男、井上靖から山川方夫、三浦哲郎まで。
少年期の苦く切ない記憶、淡い恋情を描いた心に残る短篇を、
中学教科書から12編を厳選。
教科書に載っている読み切りですから、20分もあれば読めます。
今月はこの中から数編を記事にしてみたいと思います。
今回の作品は、阿部昭「あこがれ」 。
そんな融通の効かない性格に依るところが多いためです(^_^;)
そんな自分に打ってつけの本を図書館で見つけました。
教科書名短篇「少年時代」
http://i.bookmeter.com/b/4122062470
ヘッセ、永井龍男、井上靖から山川方夫、三浦哲郎まで。
少年期の苦く切ない記憶、淡い恋情を描いた心に残る短篇を、
中学教科書から12編を厳選。
教科書に載っている読み切りですから、20分もあれば読めます。
今月はこの中から数編を記事にしてみたいと思います。
今回の作品は、阿部昭「あこがれ」 。
そもそも少年が大人になってゆくきっかけとは、
どういうものなのでしょうか。
初めて口にする酒や煙草など、あー、大人の味だ。というところかもしれません。
また、初恋などの、今まで体験したことのない、
ふわふわとした宙に浮いた羽根になったような感覚なども、
大人になっていくのを自覚する体験といえるかもしれません。
この物語は、戦後、やっと世の中が落ち着いてきた昭和20年代半ばくらいのものでしょうか。
主人公の少年の、隣の家に住む年上の少女との切ない淡いやりとりも、
まさに大人になってゆく過程に特有の体験といえます。
しかし、その淡い恋も、彼女の突然の転校により終わりを告げます。
そして、父の繰り返される転職による家庭内のいざこざ。
そう、大人になるとは、
人生必ずしも、自分の思い通りになることはないという苦悩を知ることなのです。
恋する少女とのどうにもならない別れ、
恋する少女とのどうにもならない別れ、
少女の父の戦病死して傷ついた心を癒してあげられぬやるせない気持ち、
自分の家庭のいざこざをどうすることもできない悩み。
最後に、少年が好奇心から吸った煙草の、吐き気をもよおす苦い口当たりの悪さは、
まさに大人の味そのものといえるでしょう。
その独特の苦みの味を覚えていくことが、大人の自覚ということなのかもしれません。
話は少しずれますが、人間の舌の味覚というのは、
甘さが一番わかりやすく最初に覚え、
苦みが一番わかりにくく最後に覚える旨味だという話を聞いたことがあります。
体の感覚のみならず、心の感覚においても、
苦みというのは、最後に覚えるべき大人の味ということなのかもしれません。
この作品は、短い中に、そのエッセンスを見事に表現したものといえます。
少年の、年上の少女を見る描写も、
自分の家庭のいざこざをどうすることもできない悩み。
最後に、少年が好奇心から吸った煙草の、吐き気をもよおす苦い口当たりの悪さは、
まさに大人の味そのものといえるでしょう。
その独特の苦みの味を覚えていくことが、大人の自覚ということなのかもしれません。
話は少しずれますが、人間の舌の味覚というのは、
甘さが一番わかりやすく最初に覚え、
苦みが一番わかりにくく最後に覚える旨味だという話を聞いたことがあります。
体の感覚のみならず、心の感覚においても、
苦みというのは、最後に覚えるべき大人の味ということなのかもしれません。
この作品は、短い中に、そのエッセンスを見事に表現したものといえます。
少年の、年上の少女を見る描写も、
せつなくて、少年の心のひだをよく捉えていて、感心します。
なかなかの佳作といえるのではないでしょうか。
作者 阿部昭について
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E9%83%A8%E6%98%AD
なかなかの佳作といえるのではないでしょうか。
作者 阿部昭について
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E9%83%A8%E6%98%AD