らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

「教科書名短篇」シリーズ 中公文庫







教科書名短篇「少年時代」
https://honto.jp/netstore/pd-book_27752586.html

3月は「教科書名短篇 少年時代」に掲載されている作品をいくつか読んで参りましたが、
いかがだったでしょうか。

実は、ずっとこれを読んできたのには理由があります。

「教科書名短篇 少年時代」という本は、
少年時代というものが、実に巧みに構成されています。

まず子供というものは、「幼年時代」のように親の包みこむような愛にくるまれるようにして過ごします。 
しかし、長じるに従い、親が子供にしてやれない壁にぶち当たります。
それは「あこがれ」のような人生の苦みであったり、「夏の葬列」の良心の呵責だったり、
「童謡」の大病だったりするわけですが、
それは自分自身で乗り越えていかなければならない。

そして、さらに、「胡桃割り」のように、
必ずしも自分の意に沿わないものを、自己の中に取り込んで包みこむ、
つまり、他人に愛を与えることができるようになる。
そのようにして少年は大人への階段をしっかりと上り始める。

このような、少年時代に辿ってゆく人間的成長が、
非常に上手く構成されており、とても感心しました。

この本を編集した人は、かなりの力量の人物だと思います。
今回、個々の作品というよりは、
この本の構成そのものに感心して読み進めていったような気がします。

しかし、このような作品は、大人になって振り返ってこそ、
しみじみ感じるところがあるものですが、
少年時代真っ只中の子供達は果たしてどうなのでしょうか。

自分を例にとれば、チーズが美味しそうだったとか、
胡桃って美味しいのかなとか、
そんなことばかり記憶に残っており(^_^;)
教科書を構成した大人達の意図にはあまり沿っていなかったような気もします(汗)


さて、「教科書名短篇 少年時代」はこれくらいにしまして、
今度は「人間の情景編」を読み進めていこうと思います。


教科書名短篇「人間の情景」
https://honto.jp/netstore/pd-book_27752585.html

そのラインナップを見ますと、

無名の人/司馬遼太郎
ある情熱/司馬遼太郎
最後の一句/森鴎外
高瀬舟/森鴎外
鼓くらべ/山本周五郎
内蔵允留守/山本周五郎
形/菊池寛
信念/武田泰淳
ヴェロニカ/遠藤周作
前野良沢/吉村昭
赤帯の話/梅崎春生
凧になったお母さん/野坂昭如



なかなか骨太な作品が並んでいます。
実は、もういくつか読んでみたのですが、
大人でも読むに耐えうる深いテーマが描かれています。

人間というものは、何を旨として生きるべきであるか。
そして、死ぬべきか。

これは教科書を読む子供達だけでなく、
全ての年代の人間が自問すべきテーマのはずです。


このうち、森鴎外高瀬舟」と野坂昭如「凧になったお母さん」は既に記事を書いておりますので、
紹介しておきます。
もし、よろしかったら、ご覧になってみてください。
ただ、ブログを始めて間もない頃の記事なので、
ひょっとしたら、新たに記事を書くかもしれません。


森鴎外高瀬舟
https://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/4388121.html

野坂昭如「凧になったお母さん」
https://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/9966790.html
https://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/9970862.html