らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

「母をたずねて三千里」エドモンド・デ・アミーチス(原作「クオレ」より)



 

もともと「クオレ」という、イタリアの少年の学校生活を描いた作品の中の、
毎月の先生の講話のひとつである「アペニン山脈からアンデス山脈まで」という一編。


イタリアの港町ジェノバに住む少年マルコは、
両親と鉄道学校に通う兄とで慎ましく暮らしていましたが、
家族の生活は、日増しに苦しくなり、
とうとう母親がアルゼンチンへと出稼ぎに行くことになります。

母親の居ない寂しさをこらえ、毎日を送るマルコでしたが、
やがて、その母からの便りも途絶えてしまい、
お母さんのいるアルゼンチンへ、長い長いマルコの旅が始まるのでした…

主人公は11歳の少年マルコなんですが、
この年頃の男の子はみんな、お母さんお母さんですよ。
あと5年もすると、その情熱は彼女に移ってしまうんですけどね(^^;)

アルゼンチンの旅では、
というか年端のゆかぬ少年が、アルゼンチンまで行くということだけでも大変なことですが、
そこでは様々な困難や試練が立ちはだかり、なかなかお母さんに会うことができません。
しかし、一念岩をも通すという言葉のとおり、それを上回る、母への強い思い、
そしてマルコのその一途な気持ちに動かされた人々の優しさ、助けにより、
最後に再会することを果たすという物語です。

原作の「クオレ(Cuore)」とは、
イタリア語で「心」を意味する言葉なんだそうですが、
まさに母に対する、その一途な心が、
人々の心を動かし、家族を救い、母を救い、そして自分自身をも救う。
そういうことが、素直に心の中にすっと入り込んでゆく優しいお話です。


ところで、この「母をたずねて三千里」、1976年にテレビ放映され、
ジブリの高畑勲監督や「風立ちぬ」の宮崎駿監督、富野由悠季さんなどが製作に携わっています。





 
自分はこれ、再放送で見ました。
原作は短編であるため、どうしても叙述が薄くなってしまいますけれども、
アニメはストーリーを原作に沿いながら、
その行間を、非常に情緒豊かに、
厚みを加えて仕上げており、素晴らしい作品であったと思います。
ある意味、これは男の子をもつお母さん殺しのアニメですよ(^_^;)
当時、ウチの母も食い入るように見ていていました(^^;)

記事に添付した第1話、物語の導入部分が、
とても情緒豊かに表現されており、
またマルコが母親と別れなければならない話の伏線作りも、
本当に上手いなと思います。

太陽の光の輝き、風の気持ちよさ、どこまでも青い空など、
後のジブリ作品に見られるような自然の美しさも描かれており、
ご覧になると、作品の雰囲気もおおよそわかりますので、
興味ある方はぜひ。

もちろん原作を翻訳したものも、青空文庫にありますので、
見比べてみるのもよいと思います。