ルポ風に大坂方の武将の動向を細かく記述した作品。
堀を埋められ城に籠る事ができない大坂方は討って出るしかない。野戦の名手家康に敵うはずなく数日で主な武将は討死。
しかし、真田、後藤、木村、薄田、毛利、団など大坂方の武将は儚さと潔さと刹那の煌めきを感じさせる戦国最期の華。
豊臣を滅ぼした元凶のように言われる淀の方だが、幼子の後継ぎを残し秀吉が死んだ時点で命運は決していたと思う。
淀の方は小谷城で父を失い、北ノ庄城で母を失い、最期に大坂城で自分も自害し生涯を閉じた。歴史に残る三度の落城を経験した、まさに戦国悲劇の女性。
その面をもっと強調してもよいと思う。
「大坂夏之陣」菊池寛
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