らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

自分枕草子「夏 趣深いもの」


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夏 趣深いもの

 

夏の盛りの暁(あかつき)に

ひぐらしの声で目が覚めること

 

しばらく寝床で横になったまま

その声に聞き入り

うとうとするのもまた心地よい

 

朝日が昇る頃

乱雑な蝉々の鳴き声に

ひぐらしの声がかき消されてしまうのは

とても残念なことだ

 

 

 

古くは、夜半から夜の明けるころまでの時の流れを、

暁(あかつき)、東雲(しののめ)、曙(あけぼの)と区分したそうです。

暁(あかつき)とは、夜半過ぎから夜明け近くまでの時間
東雲(しののめ)とは、東の空がほのかに明るくなる頃
曙(あけぼの)とは、まさに日が出ようとする頃

ということだそうですが、

僅かな夜明けの時分の時の流れを、

なんと繊細に美しく表現したのだろうと感心します。

 

 

自分は枕草子の感性がとても好きで、

「自分枕草子」と題して、たまに文章を作っています。

 

作ってみて改めて気づいたのは、

枕草子というのは、単に思いついたものを

アトランダムに並べているというわけではなく、

短い言葉を並べる中で、

様々な内容のバリエーションや一定の言葉のリズムが工夫されており、

むしろ詩に近いのではないかということ。


同じようなもの、同じような色のものを並べても、単調になってしまいますし、

言葉が長すぎても説明的になり、文のリズムが損なわれてしまう。


また、並べられる言葉は、突拍子のないものは好ましくなく、

読む者に共感を得られるもの、

例えば、身近にありながら、ハッとさせられるようなものでなければなりません。


その微妙で、デリケートな空間の中に、調和があるといいますか、

枕草子に、そんなことを感じています。