らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【映画】時をかける少女 大林宜彦監督作品

 
 

 
                            


  
製作: 1983年 

監督:大林宣彦
製作:角川春樹
原作:筒井康隆
出演:原田知世高柳良一尾美としのり上原謙 他


ちょっと前に、現代を舞台にした最新版のアニメを見たせいか、
冒頭のスキーのシーンで、正直、かなり時代がかったものを感じてしまいました。
あれ、30年前の1980年代前半って、こんな時代だったかなと(^_^;)

でも、原田知世さん、今までしっかりと見たことありませんでしたけれど、
やっぱりかわいいですね。
そして、意外に目が色っぽい。
それでいて古風な趣がある楚々とした雰囲気がありますから、
こんな女の子が高校のクラスにいたら、今でも大人気だと思います。

話がいきなり脱線しましたが、
この映画のストーリー、原作にかなり忠実に作られています。
それでいて、シンプルな原作を上手く肉付けして、
登場人物や物語の情景に上手く厚みを加えて、
その魅力を引き出しています。
尾道という、時が止まったような町並み、弓道部に所属する主人公の学園生活、
そして、この作品、原田知世さんの魅力に負うところがやはり大きい。
演技がたどたどしいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、
独特のしっとりとした不可思議な雰囲気を醸し出し、物語に引き込まれます。

原田知世さん演じる、おとなしげなイメージの芳山和子さんなんですが、
意外に積極的なんです。
高校生の男子くらいで、あれをまともに喰らったら、
メロメロになって、ひとたまりもないでしょうね(^_^;)

時を跳躍(タイムリープ)する時の特殊映像技術が古さを感じてしまうのは、
まあ致し方のないこと。
冒頭、時代がかった映像が気になったと申しましたが、
次第にそれが気にならなくしてしまうような、
リズム感というかテンポというか、力といいますか、
そういうものが、確かにこの映画にはあります。

この映画、そのようなテクニック、いや、工夫というべきでしょうか、
大林宜彦監督による、そういうものが随所に見られて、
最初白黒だった映像に次第に色がついてきて、
主人公の、未来から来た少年への記憶が鮮明になってゆくさまを表現したり、
タイムリープのイメージをコマ送り的映像にして、
日常と別次元に入り込んでいる様子をイメージさせたり、
自ら映像を撮ろうという人にとっては、
お手本になるような作品といえるかもしれません。

最後に、時を経て、薬学を志して、
大学の研究室で猛勉強する彼女のもとに、未来に戻った深町一夫が現れ、
彼女もなんとなくその気配を感じるも、
また、自分の道を歩み出すラストは、
切ないながらも、印象的な、力強さを感じさせる創作であると感じました。

ラストに流れる主題歌の「時をかける少女」、
原田知世さんがたどたどしく消えゆるような声で歌ってこそ、
その良さが生きる歌です。
作詞作曲したユーミンが歌うと、
失礼ながら、年増の色仕掛けに聞こえる瞬間があります(^_^;)

原田知世
https://www.youtube.com/watch?v=4HTJpc9Ieas
 
 
そういえば昔、近所に住む友達のお兄さんが原田知世さんの大ファンで、
彼女の名前入りのはちまきを締めていましたが、
半々世紀の時を経て、その気持ち、初めて理解できたような気がします(笑)



アニメ版の、このカットは、
大林監督の映画の、このカットへのオマージュが見て取れるような気がしますね。