らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【万葉集2011】25 秋萩の 散り行く見れば





今回最も感じ入った歌は


秋萩の
散り行く見れば
おほほしみ
つま恋すらし
さ雄鹿鳴くも



詠み人知らず



秋萩の
散り行くのを見ると
心晴れず
妻が恋しくなるらしい
雄鹿が鳴いているよ



皆さんは鹿の鳴き声を聞いたことがあるでしょうか。
「ビー」というような鳴き声なんです。
自分も鹿の鳴き声を何度か聞いたことがあります。

選者によると、しばし鳴き声を聞いていると、哀切を伴った響きに聞こえてくるものだそうです。
雄鹿は萩の花咲く頃盛りを迎えしきりに鳴くそうなので、
それを聞いた詠み人が自分の思いと重ねて、妻恋の歌として詠んだのであろうとのこと。

万葉時代から奈良には鹿がたくさんおり、
春日大社創建の際に御祭神が白鹿に乗ってきた言い伝えから
「神鹿」として大切に保護されてきたそうです。


こんな真面目な話をした後になんですけども、
この時期の奈良の鹿と自分とは浅からぬ因縁があります(-.-;)

あれは数年前の今の時期、出張で奈良を訪れていた自分は案件も全て終わり、
奈良公園のはずれでお弁当を食べておりました。

すると向こうからビービーとけたたましく鳴きながら、
角(つの)切りされた雄鹿の群れが走ってくるではありませんか。
何かに追われて逃げてるのかなと見ていると、真っ直ぐこちらに向かって来ます。

なんと雄鹿どもの狙いは自分のお弁当だったのです。

ビービーとけたたましく鳴く雄鹿にすっかり取り囲まれ、かわるがわる鹿にどつかれる自分(-.-;)
しかし、お弁当を取られまいと頭上で必死にキープしていました。

頭上のお弁当めがけて飛び上がった鹿と思わず目が合いましたが、
それはバンビのような潤んだ愛らしい瞳でなく、弁当を奪い取ろうとする獣の瞳そのものでした。

お弁当を頭上にキープしながら、かろうじて近くの奈良国立博物館に逃げ込みましたが、
怖かったですよ~(^_^;)

空腹かつ発情期で気が立っていたんでしょうか。

しばらく鹿どもは博物館の外をうろうろしていましたが、匂いが消え目標を失ったのか、
いずこかへ走り去っていきました。

まさか奈良に来て鹿にどつかれるとは(^_^;)

何度もタックルされてスーツは鹿臭くなり散々でしたが、
お弁当を死守できたのは不幸中の幸いでした(^^)

ですから鹿のビービー鳴く声を聞くと妻恋というよりは、その時の恐怖体験がどうしても…

興ざめな話でどうもすみません(^_^;)