らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【映画】二郎は鮨の夢を見る



 
 
シンプルを極めるとピュアになる。
外国のシェフが日本の鮨を絶賛するのは、そのシンプルさにあると思います。
西洋の料理は加えることで、味に深みを増してゆく。
日本の料理は余計なものを取り除いてゆくことで、味に深みを増してゆく。

西洋文化に生きてきた人には魔術のように感じるのかもしれません。

何の変哲もない地下鉄の雑居ビルにある小さな寿司屋で、カウンターは僅か10席ほど。
八十半ばの老人がいまだに鮨を握り続けている店。

世界最高の鮨と絶賛する方も何人もいらっしゃいます。
メニューは3万円からおまかせのみ。
ネタは20貫ほどでしょうか。
つまみの類いは無し。ただ鮨を愉しみに行く店のようです。
所要時間は平均30分程度。

鮨のネタの仕込みを見ていると、特段特別なことをしている風ではなく、
あくまでもシンプルで基本に忠実であり、
愚直。という言葉が一番ぴったりくるような気がします。

映画の中で二郎さんの発言を聞きますと、
哲学的、知性的という感じはあまりしません。
根っからの江戸の頑固な職人という感じです。
特別のことは何ひとつ言っていません。
勤勉、向上心、自己の信ずるものへのこだわりなど、
物事を極めた職人の方なら、誰でもおっしゃることをおしなべて言っているだけです。
ただ、それを言うことはできても、
数十年間実践し続けるというのは極めて困難なことなのかもしれません。
二郎の味が究極のものとするならば、
それは、愚公山を移すという結果のゆえんでしょうか。

食べログなどを見ますと、絶賛の嵐です。
http://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13002260/

200以上あるコメントをひとつひとつ見ますと、
絶賛されている方は、鮨の味もさることながら、
ミシュランや世界の料理評論家が絶賛、世界の一流シェルが涙を流した、
銀座の変哲もない小さな店を切り盛りする
八十半ば過ぎの、寡黙でストイックな老寿司職人。
そういうストーリーも含めて、美味しさというものを評価しているように感じます。

一方、僅かながら、否定的な意見もあります。
その中で、酢の匂いがきつい。というコメントがいくつか目につきます。
年を取ると人間というのは、五感の感覚が鈍くなってくるものです。
それとともに舌の感覚も確実に鈍くなってくるものですが、
そこのあたり多少影響しているところがあるのかもしれません。どうなんでしょうか。

この映画、日本人ではなく、米国人の方が制作したものです。
日本人が見ると、普通の、旨い寿司屋のドキュメンタリーのようにも感じますが、
外国人の方からみると、
ふだん滅多に知ることができない日本の寿司屋の内幕を知ることができ、
また、世界の頂点たるミシュラン三星の料理人が、華美で豪勢な生活を送るわけでもなく、
彼が創り出す鮨と同じように、シンプルに慎ましやかに生きているという、
不可思議で、刺激に満ちた貴重な映像なのかもしれません。

しかし、料理というものは、どちらにしても、実際、自分の舌で味わってみないと、
真の自己の感想というものは出てこないものです。
ですから、二郎の鮨を食べたことのない自分は、もうこれ以上述べるのはやめにしましょう(笑)

なお、すきやばし次郎でご馳走してくださるという奇特な方がいらっしゃったら、
ぜひとも御相伴に預からせていただきまして、
いいレポート記事を書きますので、ぜひお申し出ください(^_^;)お待ちしております。


 
 

https://www.youtube.com/watch?v=9h9H26X0O1I
こちらの予告編は、鮨が最高に美味しそうに撮られています。
これを見る限りは極上の鮨といわれるのも、
もっともだと感じます。