らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

「諸葛孔明対卑弥呼」町井登志夫









お正月、ランスを抱っこして、
少林寺三節棍や高速餅つきの映像を見ながら読んでいた作品です。
(餅つき)https://www.youtube.com/watch?v=zjB4PPgBtSo&feature=youtu.be



中国三国志の時代、
赤壁の戦い諸葛孔明の摩訶不思議な奇略に破れた魏の曹操は、
劣勢を挽回する最後の切り札として、それに対抗する人物を招聘する。
それは邪馬台国卑弥呼だった笑

というお話。


かなり前に書いた、
志茂田景樹さんの「戦国の長嶋巨人軍」以来の同系の作品です。
https://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/11892605.html


史実によりますと、234年諸葛孔明五丈原にて病没しますが、
その数年後の239年邪馬台国卑弥呼は魏に使節を送っていますので、
二人は同年代に生きた人物だったんですね。


鬼神のような天才軍師諸葛孔明と鬼道を操る卑弥呼
というとんでも展開なのですが
まず笑ってしまうのが、諸葛孔明が自分を表す言葉が「俺」


「大きいやつなんて嫌いなんだよ。バラバラでいいじゃねぇか。
元からバラバラなんだしよ。
大きくなって何か楽しいことでもあるのか。え」


なんだかロック歌手みたいなこと言っています。



卑弥呼卑弥呼で、
間違ってもこんな感じの卑弥呼ではありません。






例えていうなら、峰不二子みたいな感じ笑

ですから、卑弥呼に関わった男達に降りかかる災難、苦労というものに
卑弥呼は全く関心がありません。

挙げ句、彼女に関わった男達は、その毒牙にかかって
過労死寸前にこき使われたり、非業の死を遂げたりしています。
難升米、魯粛徐庶・・・(-_-;)



圧巻はラストの西城における空城の計。
空城の計とは、街亭の戦いで蜀軍が大敗し、
諸葛孔明も退却を余儀なくされましたが、
あちこち手配して手薄となった城に魏の大軍が急襲。
絶体絶命の大ピンチに諸葛孔明が城の門を全て開け放ち、
自らは壇上に座って涼やかに琴を弾いていたというお話ですが、

その琴の音色があまりに涼やかであるのを聴いて、
何か策があるに違いないと疑心暗鬼に陥った魏軍はそのまま撤退。
蜀も兵を損することなく撤退することができたという結末なんですが、

この西城の壇上で諸葛孔明が弾いていたのは何とエレキギター(@_@;)

自分が魏の大将でも怪しすぎて撤退するでしょう(笑)

ネタ明かしをすると、諸葛孔明がエレキテル的からくりを考案していて、
城に近づく敵を高圧電流で仕留めるというオチなのですが、


でも、このラストでわかったことがあります。

当時の中国は新興の魏になびく者が多く、
旧き漢の時代は過去の遺物として忘れ去られようとしていました。
それに対抗する形で建国されたのが、
劉備諸葛孔明の蜀の国ということだったわけですが
諸葛孔明は、世の中の大勢に抗い、自分の信条を頑なに守って貫く、
ロック魂を持った人間だったんだと。



あまりにも荒唐無稽で、
投げ出すギリギリのところで、自分もなんとか踏みとどまりましたが、
この本から何かを得ようとすると腹が立ちます笑
それだけに読む者の度量を試す作品と言えるでしょう。