らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【クラシック音楽】ラ・フォル・ジュルネ メンデルスゾーン

















今回、ゴールデンウィークに行った音楽祭ラ・フォル・ジュルネ熱狂の日」のネーミングですが、
これは、モーツアルトのオペラ「フィガロの結婚」の題名に由来します。
フィガロの結婚」原作の正式なタイトルは、
『狂おしき一日、あるいはフィガロの結婚
(La Folle journ?e, ou le Mariage de Figaro)

この前半分を取って、ラ・フォル・ジュルネ熱狂の日」というわけです。

なるほど上手い事つけたなと思います。
この音楽祭って、どういう雰囲気なんですか?と、行ったことのない人に尋ねられたら、
自分は、モーツアルトフィガロの結婚」のような雰囲気ですと答えるでしょう。

フィガロの結婚って、本当に幸せ感いっぱいの音楽なんです。
様々な色彩の音色が、空間を軽快に自由に飛び跳ねるイメージ。
これから何か楽しいことが始まる予感がする。
そんな曲なんです。

フィガロの結婚 序曲
https://youtu.be/8iPfVtGI_tw



さて、そんな音楽祭で聴いてきたのが、
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。
ヴァイオリニストは元祖美人ヴァイオリニスト前橋汀子さん。
御年74歳とは思えぬ舞台姿の艶やかさ。







この曲のヴァイオリンパートはとても有名で、
クラシック音楽に興味がない人でも、耳にしたことがあるのではないでしょうか。

冒頭の甘美なヴァイオリンのメロディーが印象的で、
甘美にということをいうならば、
前橋汀子さんのヴァイオリンは最もそれに適したものといえるかもしれません。
たっぷり豊かにヴァイオリンを鳴らして、聴く耳を楽しませてくれました。

前橋さんのメンデルスゾーン、ぜひ聴いていただきたかったのですが、
音源がないので、同じ感じの名演チゴイネルワイゼンを紹介しておきます。
https://youtu.be/2iAlQysln50




そして、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲でもう一つ紹介したいのが、
庄司紗矢香さんの演奏。






庄司さんは、16歳の時に世界的なパガニーニコンクールで優勝し、
その可愛らしさと相まって非常に人気を博しました。
そんな彼女も、もう35歳ですか。
月日が流れるのは早いものです。

彼女は音楽に対して、とても真摯でストイックであり、一見地味にも聴こえます。
彼女より豊かにヴァイオリン を鳴らす人はいくらでもいるでしょうし、
滑らかに弾くことができる人もいくらでもいるでしょう。
しかし、彼女のヴァイオリンの音色は、
そのように派手に豊かに滑らかに弾くどの奏者よりも心の芯に響くのです。

これが音楽の不思議なところで、
耳に心地よいものが、心の芯まで届くかというとそうではない。
必ずしも耳に心地よいとはいえない演奏であっても、心の芯に届く演奏というのがある。

彼女の演奏は静やかで本当に美しい。
美しいとは心地よいことをいうのではありません。
美とは自己の内奥から放たれるエネルギーの力強さ。
その静やかな力強さが、彼女の演奏の美しさなのではないかと思います。
https://youtu.be/dskvPJdRDoE


ラ・フォル・ジュルネ、もっと色々聴いてみたかったのですが、
今年はこの2公演のみとなりました。
しかし、どちらの演奏も味わい深いものであったと思います。
また来年もぜひ。