らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【クラシック音楽】ラ・フォル・ジュルネ ショパン











クラシック音楽を聴くというのは、
同じモデルを描いた様々な画家の絵を見るのに似ています。
同じモデルを描いても、描く画家によって対象の捉え方は様々で、
色々な作品があり、
それらの作品は、それぞれ個性を帯び、それぞれの味があるものです。

それはどれが正しいというものではなく、
感性の捉え方が違うというべきでしょうか。


今回、ゴールデンウィークに行われた
クラシックの音楽祭ラ・フォル・ジュルネで聴いたショパンのピアノ協奏曲第1番。

もう色々なピアニストの演奏を数十は聴いたと思うのですが、
今回においても、またその思いを新たにしました。
派手さはないものの、落ち着いたしっとりしたショパンを堪能しました。

さて、この曲の演奏で一番お気に入りは、
フランソワというピアニストの演奏。





https://youtu.be/Q3rQ1G055UQ

演奏からほとばしる色気。そして、そこに垣間見える寂しさと切なさ。
変な事を言うかもしれませんが、
色気ということにおいて男が本気を出したら、
女性はかなわないのではないかと思います。
それは、おそらく男の色気というのは、
女性の色気にはない、苦みといいますか、切なさといいますか、
そのようなものを含んでいて、何度聴いても思わずため息をついてしまう。
そんな男の色気を感じさせる演奏です。



もう一つ聴いて欲しいのは、ブーニンの演奏。

フランソワに比べ、曲の陰影というものに欠ける嫌いはありますが、
早いテンポで繰り出される音楽の跳ねるようなきらめきが素晴らしい。
人によっては、これはショパンじゃない、
ショパンの苦悩が弾き流されてしまっている。そう言う人がいるかもしれません。
しかし、朝の爽やかな光のような、
生き生きと生命が飛び跳ねるようなショパン
今まで誰も見出だせなかった、こんな表情のショパンがいたんだと、
ハッと気づかせてくれる、そんな演奏です。


最後に、ショパンピアノ協奏曲第1番といえば 、
一般に一番知られているのは、のだめカンタービレの演奏でしょうか。
https://youtu.be/O0X8LiVrRSI

情熱的で、しなやかで美しい演奏です。
この演奏、ランランという世界的なピアニストが吹替えをしているそうで 、
なるほどと納得しました。

さて、ヒロインのだめを演じる上野樹里さんは非常に熱演しています。
葛藤ある激しく情熱的な曲ということで 、
ピアノの弾き姿もそれに重ねて上下動の多い、情熱的なものとなっています。

これはこれでドラマの演出としては素晴らしいのですが、
実際の超一流のピアニストの弾き姿というのは、
激しい曲でも、上下動がほとんどなく、非常に安定してるんです。
動きに無駄がなく無理がないんです。
そのあたりは、野球のバッターやテニスプレーヤーといった
スポーツの超一流どころのフォームと相通じるところがあるかもしれません。

こちらは20世紀最高のピアニストといわれたホロヴィッツの弾き姿。
https://youtu.be/7ClDFmFmr0k

こんな落ち着いた鍵盤さばきから、
激しく情熱的な音楽が出てくるというのは、ちょっと不思議な感じがします。



ラ・フォル・ジュルネの記事、次回も続きます。