【閑話休題】Mさん会社を退職す
3月も下旬のある日の夕方、
自分はいつものごとく会社で、年度末の仕事に追われていました。
その時、なにげに後ろに人の気配を感じ、ふと振り返ると、
キャンディーのいっぱい詰まった缶を持ったMさんが自分の傍らに。
Mさんは1年ほど前に他の課に配置換えとなり、
そこはブースも離れていたので 顔を見ることもあまりなかったのですが、
この時、久しぶりに顔を見たという感じでした。
いつもの天真爛漫なMさんからすると、ちょっと元気がないというか暗いというか、
そんな印象を受けました。
「おお、お久しぶり。どうしたの?」と自分が声をかけると、
Mさん「実は私、今日でここを退職することになったんです 。それで挨拶に来ました。」
それを聞いた自分は椅子からひっくり返るような衝撃を受けました。
「えー、なんで!そんな・・・やめるのやめなよ。」
やめるのをやめる?
その言葉を彼女はとっさに理解できなかったようで、
自分で反芻するように、やめるのをやめる・・・やめるのをやめる・・・
ああ、会社をやめるのを止めろ。そういう意味かと合点がいった表情の彼女。
「随分前からどうしようかと考えてて自分で決めたんです。」
どうも結婚退職とかそういうこととは違うらしい。
会社に疲れたというか、魅力を失ったというか・・・
そういえば通勤に1時間半くらいかかっていたな・・
要はここに勤める張りを失ってしまったということのよう。
「一緒に仕事してた時は本当にお世話になって・・もぞさんもすっかり立派になって。」
10歳以上年下のMさんから、
立派になって・・といわれるような何かあったかなと思いつつも(^_^;)
もうMさんと会えなくなってしまうということで
その時は心がぐるぐる回ってしまっていた自分。
当時一緒にやっていた、男性の同僚で、
クールでMさんが尊敬していると言っていた人に、
「今日でMさん、退職しちゃうそうですよ。聞きました?」と告げると、
その人は極めて落ち着いた口調で、
「聞きましたよ。次の所でも頑張って欲しいですね。」
ときわめてクールな答え。
何でこんなところでクールなんだよ。クールの使い方間違ってるよ。
彼女とは恋愛感情、そして、それみたいなものもなかったと思います。
しかし、とても可愛い妹分のような存在で、
彼女とのおしゃべりは本当に楽しいものでした。
そしてまだ聞きたいことはたくさんあったのに。
猿蟹合戦の話どう思う?
この絵を見て何を感じる?
春に感じるものは何?
彼女の口から出る、宇宙の彼方から飛んできたような、
予測もできない答えをワクワクしながら待っていた自分。
何か彼女のためにもっとやってあげられたんじゃないかとぐるぐる頭を回りましたが、
何かに流されてやめたのでもなく、無理やりやめさせられたのでもない。
自分で決めた。彼女ははっきりそう言いました。
そうか自分で決めたのか。ならしかたがないのかな。
ある意味、あの彼女の言葉は自分を慰めてくれる最後の言葉だったのかも知れません。
春は別れの季節。
そんな言葉久しく忘れていました。
でもやっぱりそうなんだな。
http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/12926618.html
http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/12635262.html
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まとめておきました。