らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【クラシック音楽】みなとみらいオルガン1ドルコンサート 1



 
 

・J. ラングレ: ハルモニウムまたはオルガンのための24 の小品集 第1 番「旋法的な前奏曲」   
・P. デュカス:バレエ「ラ・ペリ」より ファンファーレ  
・J.S. バッハ:幻想曲ト長調“ピエス・ドルグ” BWV 572  
・柿沼 唯:フーガ「月」  
・C. フランク:コラール第3 番



先日久しぶりにクラシック音楽のコンサートに。
横浜みなとみらいホールでは、
1ドルでオルガンコンサートを聞くことができるという試みが、
定期的に為されておりまして、今回行って参りました。

コンサートの前に10分間ほどのレクチャーがあり、
みなとみらいのオルガンはルーシーという名前であること。
ルーシーは4623本のパイプで構成されており、
その中で一番低い音と高い音を聞かせてもらったのですが、
一番低い音、パイプの長さ、なんと10mは、
音というよりは、ダンプカーの通り過ぎる振動のようであり、
一番高い音、パイプの長さ僅か1cmのものは、飛蚊の音のようであり、
両方とも実際の演奏では滅多に弾かれることがないそうで、
自分も初めてそれを耳にし、とても勉強になりました。

さて、演奏ですが、
今回はバッハ及びバッハに影響を受けた後世の作品ということでした。 

そもそもオルガン曲というのは中世及びバロック期に数多く作曲されましたが、 
市民革命などの時代の変化により、音楽のテーマは神から人間へと移ってゆき、
それに伴い、教会に備え付けられているオルガン音楽も廃れつつありました。
しかし、20世紀に入り、宗教を離れた、楽器としての魅力を見出だした音楽家により、
また新たにオルガンの作曲が為されるようになりました。

実際に聴いてみますと、確かにそれまでなかったオルガンの曲想といったものが聴いて取れます。
しかし、それら現代に作曲された曲の印象は、バッハのBWV572を聴くに及んで消し飛びました。

精緻にしてゴシック建築のようながっちりとした揺るぎない堂々たる曲想。
しかし、かといって頑迷さを感じさせることはなく、
音楽が次々と軽やかにパイプオルガンから紡ぎ出されてゆくイメージであり、
教会の高い明かり窓から一直線に地に降りてくる力強い光を感じさせます。 
音楽全体にわたっての圧倒的な存在感。
ただただ圧倒されてオルガンの音を浴び続ける感覚。

しかし、不思議なことに、音楽がホールいっぱいに鳴り響いても、
うるさいと感じるところは微塵もないのです。
むしろ静謐さすら感じさせるものがあります。
静謐とは無音のことをいうのではありません。
究極の静謐とは音によって造り出される人間の技なのです。

オルガンの音というのは、まずホールいっぱいに天井まで広がって、
その後ゆっくりと地に降りて行く感じであり、
CDの録音では入りきらない、ライブならではの感覚を感じることができました。

こんな素晴らしいコンサートが1ドル(100円)でいいのでしょうか(^_^;)
時間も40分ほどで、平日の勤め帰りにはちょうどいいですし、
まさに大満足の至福のひとときを過ごすことができました。


 
どうしてもCDでは、生のパイプオルガンの音色は再現できませんが、
雰囲気的に一番近い演奏はこちらでしょうか。
素晴らしい演奏でした。

BWV 572
https://youtu.be/JAd7bvRvGPg


追記
投稿直前に、みなとみらいホールのパイプオルガン ルーシーのYouTubeを見つけましたので、
興味ある方はご覧になってみてください。
レクチャーの一端を垣間見ることができるものです。

https://youtu.be/Dkw-VjfiPt4