らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【クラシック音楽】ショパンコンクール2015 一次予選1


 
 

この記事は、現在開催されているショパンコンクール第一次予選を、 
YouTubeライブ配信していまして、それを聴きながらメモしたものを記事にしたものです。
ですから、演奏を聞き直して、感想を修正するということをしておらず、
音楽に接したファーストインパクトで感じたことを記したものです。

しかし、一次予選には80人ほどエントリーしていて、1人4曲ずつ30分くらい弾くので、
全員分聴くと、一次予選だけでも320曲40時間聴き続けることになり(^_^;)絶対無理。 

よって、予選については、たまたま聴いてみて、気になった人の演奏の感想を、
とりあえず、10人分くらい書ければと思っています。




木村友梨香さん





強音が時折うるさく感じる瞬間があるものの、
その音楽に引き込まれる吸引力が確かにある人だと思う。
聴衆に聴かせる音を確かに持っている。
単なる疾走する腕自慢の早弾きの人ではない。
しかし、緩やかな曲調のものになると、ややその音色に芳香が欠けるきらいがある。
どうしても単調に聴こえてしまうところがあり、
自分はその音楽に没入できず、演奏の途中で時計をちらちら見てしまった。

しかし、素晴らしい可能性を含んだ才能を感じたのも事実。
それは、このコンクールでそれを引き出す云々という短期的な話ではなく、
ここからの研鑽が、木村さんの内なるものを引き出すことになるであろうという長いスパンの話。
まだまだ伸びる人だと思う。




ディナーラ・クリントンさん(ウクライナ





さきほどの木村さんと比べると、彼女は緩やかな曲調の曲が上手い。
その音色からうっとりするような芳香を感じる。
木村さんの激しさの際立つ演奏の後に聴くと、特にそれが際立つように感じた。

いい意味で、聴衆への聴かせどころを知っている人だと思う。
しかし、それは悪い意味でもある。
悪い意味で、まとまってしまっているものも感じる。
木村さんのような、伸びしろのようなものをあまり感じない。

激しい曲は、勢いで押し切っている感がしたが、
緊張もあり、余裕もなかったんだろうと思う。
しかし、必死に弾いている中で彼女自身見出だしたものがあったのかもしれない。
最後のスケルツォ39は終局に向かって、ぐんぐんと集中力を増し、
聴いている者の心をとらえ、引き込んでいった。
この演奏は、今回の記事の3人の全曲の中で一番良かった。
演奏後、聴衆からもブラボーの声が上がる。
当然だと思う。



 




さすがの小林さんも緊張した面持ち。
舞台の袖から出る直前、付き添いの人に、背中思いっきりバーンてやってと頼んで、
最後の気合を入れてもらっていたのが、微笑ましくもあり、
さすがの小林さんでも緊張するんだなという大舞台を実感。

椅子に座りピアノに向き合うが、椅子の高さが合わない。
この調節に少々難儀する小林さん。
実はピアニストにとって、この椅子の高さというのが厄介なもの。
指が鍵盤に最もフィットするような高さにしなければならない。
往年の名ピアニスト グレン・グールドなどはマイチェアを持参して舞台に臨んだほど。

長い瞑想ののち、おもむろに弾き出したその音色は、先の二人より洗練されたものを感じる。
激しいメロディも決してうるさく響かない。
小林さんの素晴らしいところは、一転して、緩やかな曲調のものになっても、
音の色彩が変化すること、その表情の使い分けが鮮やかで、単調でない。
だから、いつまでも心地よく聴き続けることができる。

しかし、彼女の思いの全てが鍵盤に伝わっているとはいえないような気がした。
得意のエチュード10-4などは、やや上滑りしていて、
彼女のやろうとしていることが鍵盤にがちっと伝わっていないように感じた。
前に書いた記事の同曲の演奏の方がバランスがよく、
音楽的には素晴らしく感じた。
http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/13958097.html
 
彼女的には七分から八分の出来というところだと思う。
それでも一次予選は通過するだろう。
彼女が全てを出しきれば、上位入賞も可能だと思う。


 
今回紹介した三人の演奏は、こちらのページの、
85-88木村友梨香さん
89-94ディナーラ・クリントンさん(ウクライナ
95-98小林愛実さん
となります。
 
ライブそのものの三人の演奏は、こちらのページの、
https://www.youtube.com/watch?v=sIQeQbVXmHI&list=PLTmn2qD3aSQvC1JbRpHihzKgkYsveBZIm&index=12
2:43~木村友梨香さん
3:10~ディナーラ・クリントンさん(ウクライナ
3:33~小林愛実さん



ショパンコンクールは開催中常時ライブ配信されています。
ぜひ一度ご覧になって、コンクールの雰囲気を味わってみてください。
https://www.youtube.com/channel/UCSTXol20Q01Uj-U5Yp3IqFg?feature=em-lbrm





 
グレン・グールドが愛用したマイチェア