らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【芸能】川島なお美さんを偲ぶ



 
川島なお美さんが、自分と同じ名古屋出身だと知ったのは、ほんの数年前のことです。
名古屋市守山区出身で、中村高校卒業。
中村高校って名古屋市内ではなかなかの進学校なんです。
自分の実家からは自転車で行けます。
自分は違う高校でしたけれども(^_^;)

自分の子供の頃、名古屋のローカル番組で、
お笑いマンガ道場という番組があり、
それを見ていた自分は、川島なお美さん、当時二十代半ばくらいだったと思います、
元気で可愛らしいお姉さんという感じの方でした。

その後、三十歳目前の女性として一番いい時期に、ロケバスの事故で大怪我。
その後、十年近く雌伏の時が続きましたが、
ヌード写真集、ドラマ「失楽園」などで、
文字どおり裸一貫の体当たりで、一躍、時の人となります。
自分は残念ながら、どちらも見ていませんが(^_^;)

その後、四十を過ぎて、パティシエの鎧塚俊彦さんと結婚したことは、ニュースで知っていたのですが、
なにせ自分もテレビを見ない人なものですから、
直近の例の会見で、久々にお姿を拝見したのですが、
病にやつれ、骨ばかりになった姿に少なからずショックを受けました。
しかし、それと同時に、彼女の中に、
か細いながらも、一本芯の通ったものを感じました。 
あの体で、あれだけの対応をするのは、
正直、体は相当キツかったはずです。

彼女については、目立ちたがり屋のような意見を持つ人もいるかもしれません。 
しかし、そこは、女優ですから。
女優とは見せる(魅せる)仕事ですから、
確かに、一般人とは感覚と違うのかもしれません。
しかし、自分は、彼女の振る舞いに、歪んだ自我のようなものは感じませんでした。
むしろ、そのやつれた姿に痛々しさを感じる一方で、
凛とした迫力ある美しさのようなものを感じました。

美しさとは迫力なんです。
後世に残るような芸術作品には総じて迫力があります。 
なよなよとしなだれかかるようなものは美しさなどではありません。
美しさとは、自ら光を放つ力があるから美しいのです。
あの時の彼女には、そのような力、いや、心意気というべきでしょうか、
それがあったと思います。

そして、彼女があのように病んでやつれた姿にもかかわらず、
肌を露出気味の衣装で公衆の面前に堂々と現れたのは、
人々に憐れみを乞うためでもなく、悲劇の自分を演じるためでもなく、
自分の意志と共に、常に自分の傍らにあって自分を助けてくれた自らの肉体に、
ある意味、誇りを持っていたからではないかと感じます。


以前読んだ小説に次のような一節があります。

「うらうらと晴れて、まったく少しも風の無い春の日に、
それでも、桜の花が花自身の重さに堪えかねるのか、
おのずから、ざっとこぼれるように散って、小さい花吹雪を現出させる事がある。

机上のコップに投入れて置いた薔薇の大輪が、
深夜、くだけるように、ばらりと落ち散る事がある。
風のせいではない。
おのずから散るのである」

彼女の死もこれに近いように思います。