らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【アーカイブ】戦争関連記事4

 
 

【映画】バルトの楽園
http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/10124828.html



日本人が戦争といいますと、
どうしても先の第二次大戦の敗戦が思い浮かんでしまいますが、
それ以前において、日本は戦争の常勝国でした。
幕末の危機を乗り越え、明治の新しい世を開き、
国民一丸となって富国強兵に励み、日清日露の戦争に勝利 。
一躍、世界の強大国にのし上がりました。

では、戦争に勝利している時というのは、
敗戦の時のような苦しみを味わう事はないのでしょうか。
その答えのひとつが、今回挙げた作品の中にあります。

司馬遼太郎坂の上の雲」にも描かれているように、
日露戦争というのは国民の力を総結集して当たった戦争であり、
また、第0次大戦といわれるように、
大量抹殺を伴う近代戦争のはしりともいわれる戦争でもあります。
二百三高地はその象徴ともいえる戦場であり、
それを描いた映画「二百三高地」は自分が最も評価する戦争映画のひとつです。

これは、派手にドンパチをやり合っているのを見て楽しむ作品ではなく、
過度に愛国心や敵愾心を煽るような作品でもありません。
登場する人物全ての苦悩を描き切った非常に優れた作品です。
できれば、10代や20代の若い世代の方々に見ていただきたく思います。


田山花袋「一兵卒」は、その日露戦争において従軍した一兵士の、 
栄光とは無縁の苦しみを描いた作品であり、
「蒲団」「田舎教師」と並んで、もっと評価されてよい佳作に思います。


さて、日本は日清日露の戦争に勝利し、
第一次大戦で連合国側に参戦し勝利することで、
敗戦国ドイツがアジアに持っていた権益をほぼ継承し、
その勢いはピークに達した感があります。

得てして戦争というものは勝者と敗者に分かれるものであり、
お互いにわだかまりと憎しみを残して、それを長きに渡り、引き摺ってしまうもの。
下手をすると、それが次の戦争の火種ともなりかねないものです。
そこで、勝者は敗者に対してどのように接するべきであるのか、
その答えのひとつを教えてくれるのが、映画「バルトの楽園」です。

日本でのベートーベン第九初演にまつわるエピソードを盛り込んだ実話で、
内容については、記事を読んでいただけたらと思うのですが、
収容所解放後も、ドイツ人捕虜1000人のうち170人ほどは日本に残り、
パンやバームクーヘン、ソーセージなどの製造に力を尽くし、
それは我が国に根付いて、いまだに日本国民に親しまれているとだけ申し上げておきましょう。


ただいま、お盆休みの方も多いかと思います。
もし、手持ち無沙汰でいらっしゃるのであれば、
今回紹介しました「 二百三高地 」「バルトの楽園」いずれかご覧になることをお勧めいたします。





バルトの楽園」のモデル
ドイツ人捕虜収容所所長 松江豊寿