らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【アーカイブ】戦争関連記事3

 
 

【映画】はだしのゲン
http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/5440780.html

「原爆小景」原民喜
http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/9947022.html



原爆における自分のファーストインパクトは、
小学生の時に見た映画「はだしのゲン」でした。

これは、非常に強烈な思い出があります。
貧しいながらも寄り添いながら仲睦まじく暮らしている家族が、
一瞬にして引き裂かれ、二度と会うことができなくなる。
こんなことが実際に起こり得るんだと、自分の家族と重ね合わせて、
涙が止まらなかった記憶があります。

なお、はだしのゲンについては、主人公の生きる社会の描き方について、
必ずしも正確に事実を伝えているものではない。とする声もあります。

しかしながら、漫画というのは作者の作品であり、
対象を作者の主観的印象によりデフォルメし、
場合によっては創作を加えるのも致し方ない部分はあります。
確かに、はだしのゲンが全て原爆の事実だ。
と言ってしまうには語弊があるかもしれません 。
だからこそ、自分は、先に、生の事実を体験した人の話を、
できるだけたくさん聞くべきだと申し上げました。

しかし、この作品の中で描かれた家族愛や、
それが原爆により引き裂かれた苦しみ、悲しみというものは、
作品を通して、確かに自分が感じ取ったものであり、
そうであるならば、
原爆における人々の心情を推し量るという意味において、
やはり、この映画をお勧めいたします。



「原爆小景」を書いた原民喜は、自ら原爆体験をもつ詩人です。

生の事実を追体験するという意味において、
確かに映像や写真というのは、優れた媒体であるといえますが、
事実を体験した人々の心の中に入り込むという意味では、
文字や絵という媒体は、ある種、凄い力を持っているものであり、
映像や写真も及ばない力を秘めたものといえます。

力のこもった、強烈なメッセージを含んだ詩や絵といったものは、
それに接した者の心に迫ってきて、
まるでその場にいるかのような気持ちになってしまう。

そして、原爆小景の記事に添付した何枚かの絵ですが、
これは、実際に被爆した人々が 自らこの目で見たものを描いた作品です。
広島の原爆資料館で販売されており、自分も一部持っています。

しかし、それはテレビを見ながら、何かを食べながら、電車に乗りながら、
というような、ながらで気楽に見られるようなものではありません。
静かに家で過ごしている時に、ひょんな拍子に、いくつかの作品を見て、
また、そっと静かに本を閉じ、大切にしまっておく。
という類いのものです。

絵のタッチは人によって玄人はだしのものから様々ですが、
テクニックうんぬんを遥かに凌駕した、
原爆に直面した人々の悲しみ、嘆き、絶望、怒り、恐怖といった感情が、
作品を見る者に思わず押し迫ってくるものがあります。

これは、原爆とは何か。ということを知りたいという人にとって、
ぜひ一度、見ていただきたく思います。


今日ははからずも長崎の原爆忌
犠牲になられた方々に慎んで哀悼の意を表します。
 
 





 
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