らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【絵画】スュザンヌ・ヴァラドン(ユトリロの母)前編







先日、予告していました
ユトリロとヴァラドン 母と子の物語」という美術展を観てきました。


まず今回は、ユトリロの母、スュザンヌ・ヴァラドンの作品から。

ユトリロの母、ヴァラドンは、かなり自由奔放な女性で、
その美貌から多くの男たちから求婚され、
18歳の時、父親がわからぬ男の子を出産しました。
それが後の、画家モーリス・ユトリロです。


http://pds.exblog.jp/pds/1/201505/24/04/c0368104_20465231.jpg

こちらが彼女の肖像、ヴァラドン27歳、ユトリロ9歳


かなり色っぽい、雰囲気のある感じの女性だとわかります。

彼女は、ロートレックルノアールといった
高名な画家たちのモデルをしたことでも知られており、
一説では彼らの愛人でもあったとも。





これらはヴァラドンをモデルにして描いたといわれる作品です。



そして、彼女自身、絵画の才能に優れており、多くの作品を残しています。 
今回は画家としての彼女の作品に集めた、貴重な美術展なんだそうです。






「裸のユトリロの身体を拭く祖母」


二人の表情はなにげによく似ています。
なにげない日常のひとコマをとらえたリトグラフの作品ですが、
この場の、日常の匂いが思わずしてくるような、
非常に雰囲気が出ているように思います。
そして、線が力強く、二人の心情の内面まで描き込んでいるような、
描く者の感性の鋭さを感じます。




こちらのデッサンも同じことがいえます。
ラインのひとつひとつが生き生きとしていて、
無駄がなく、かつ力強さを感じます。、
線の一本一本から、かわいらしい息子をいとおしむ
彼女の心根までがにじんでくるような、
チャーミングな作品に仕上がっています。

彼女のデッサンというのは、本当にずば抜けたものに感じます。


そして、色彩をふんだんに使った油絵になると、
彼女のその特長は顕著になります。




大胆で、シャープな色使い。
作品が目に入ったものは、はっと目を惹き付けられる。
構図も斬新です。

芸術作品というものは、作者そのものの内面があからさまに表現されるものです。
彼女という人も、このように、大胆で斬新で、
人の目を惹き付けて離さない女性だったのかもしれません。


そして、44歳の時、21歳年下の息子の友達ユッテルと深い恋愛関係になり、結婚。


これはその頃描かれた作品「アダムとイブ」。





そのモチーフは、その頃の二人だそうです。
なんとなく、イブの表情から、当時の彼女の心の内が透けて見えてきそうな気がします。

この結婚により、彼女の筆致はさらに自信に満ちてくるようになり、
画家としての彼女の全盛期を迎えます。
それらの作品については後編にて。