らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【絵画】「薔薇の頭の女」サルバトーレ・ダリ

  

 
 

ひょろんと長細い人間のような形をしたものに、
朝なのか夕方なのかわからない、
いくつかの不思議なオブジェ以外には何もない世界が地平線まで続く空間。

このようなダリの世界は、
シュルレアリズム若しくは偏執狂的批判的方法などと称されますが、
それらを一言でかいつまんで言うと、
合理主義からの解放ということで集約されるようです。

よくお笑いなどで、シュールなギャグというようなことがいわれますが、
これはこのシュルレアリズムからきていて、
要は現実には有り得ないということをネタにしているものを指すようです。

現実には有り得ないものがよくわからないのは、ある意味、当たり前で、
作品の意味がよくわからないというのは、
シュルレアリズムを標榜する芸術家にとって
むしろ誉め言葉であると言ってもよいのかもしれません(笑)


このダリの作品を観ますと、
確かに奇妙で不可思議な世界ではありますが、
その系統の先駆けといわれるジョルジュ・デ・キリコの作品などでよく言われるような、
漠然とした不安感、見ていると謎が深まる感覚というものは意外に感じられません。

ダリの絵は愛嬌があるんです。
絵の中のヘンテコな造形は、
まるで喜々として子供が母親に描いて見せる怪獣の絵のような、
無邪気な創造が感じ取られるんです。

そして、個々のパーツパーツをよく見ると、
グロテスクというよりは、意外に?とてもオシャレです。
 




こちらは「薔薇の頭をした女」の中に描かれている椅子を実際に再現したものですが、
どうでしょうか。
絵は要らないけれど、
この椅子は欲しいという方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか(^_^;)

実際に観てみて、自分が感じたダリの絵は、
教科書で習ったように、
絵から醸し出されるシュルレアリズムの幻想性が、
現代の不安感を象徴しているなどというような暗い雰囲気はあまり感じず、

むしろ、無邪気なシュルレアリズムと称してもよい作品のように感じられました。