らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【7月総括】

 

あっという間に夏も真っ盛りになりましたね。

自分の住む首都圏は、今のところ台風の影響はほとんどなく、
風はやや強いものの、雨は全く降っていません。
そのかわり、蝉の鳴き声がすごいです(^_^;)

まさに蝉時雨。

でも蝉時雨って言葉、とても風情がありますね。
この言葉によって雑然と騒々しい蝉の鳴き声が
調和に満ちた旋律に聴こえ、涼を感じるといいますか。
言葉って本当に不思議な力を持っていると思います。


さて、7月は(8月に跨ってしまいましたが)、
高村光太郎の「智恵子抄」を中心にお届けしました。
同じシリーズを連続で5記事も書いたのは本当に久しぶりです。

この「智恵子抄」、実は今まで「あどけない話」くらいしか知らなかったのですが、
先日出張で福島二本松に行った縁もあり、
今回いろいろな作品に触れさせていただきました。

智恵子抄」の一連の作品は、夫婦の契りというものについて、
その初めから終わりまでを綴った、
素晴らしい叙事詩でありまた叙情詩であり、
日本文学史上他に類を見ない佳作であると強く感じました。

ただ、高村光太郎と智恵子の夫婦というのは、
日本の夫婦によくありがちな所帯じみたところが、
ほとんど感じられないところがあります。

彼らの生活は、普通の夫婦とは、かなり趣を異にするところがありますし、
作品だけ読みますと、あえて誤解をおそれずに言うなら、
長年連れ添ったフランスの同棲カップルのような、
そんなイメージを感じるところがあります。

そういう意味では「智恵子抄」は、
上手い翻訳があれば、欧米などの海外でも、
長年連れ添ったカップルの愛の軌跡として、
読み手の心に大いに共鳴しうる作品なのではないかと思います。


なお、紹介した光太郎と智恵子の作品ですが、
どれかひとつというならば、
「紙絵と詩 智恵子抄」(現代教養文庫)という本をお勧めします。
これは光太郎の詩と智恵子の切り絵をコラボさせたものになっていまして、
自分の記事「レモン哀歌」のような感じで各ページが構成されているものです。
詩と切り絵が不思議とお互いに調和し合っており、ぜひ一見の価値ありです。

また、この本は、光太郎の弟や智恵子の姪のエッセイなども掲載されており、
他人の目に映った光太郎と智恵子の夫婦の様子など、
なかなか興味深い文章もあります。

智恵子の切り絵をじっくり見たいという方には、
「智恵子紙絵」(ちくま文庫)という本もあります。
こちらの方が作品数も豊富ですし、写真も大きく、オールカラーですので、
ゆったりと切り絵を眺めたい方にはお勧めです。

いずれも図書館などにあると思いますので、
まずは借りてみられてはいかがでしょうか。



さて、もうすでに1週間ほど過ぎてしまった今月の目標ですが(^_^;)、
月並みですが、8月はやはり暑いですので、
こういう暑い時って、小難しいことを言っても、
内容が読む人の脳に入っていかないといいますか…
まあ、それは、夏にくどい、こってりしたものが喉を通らないのと同じでして、
自分としましても無理に頑張り過ぎて、
支離滅裂なことを口走ってもなんですし(笑)

というわけで、そうめんや冷ややっこみたいな、
つるつるっと喉に入っていくような記事でいきたいと思います。
要は、絵とか音楽とか映画とか、感覚に訴えるようなものを中心に。

ただ8月は必ず先の大戦の記事を書いてきましたが、
DVDで「風立ちぬ」「永遠の0」がリリースされましたので、
どちらか、もしくは、できれば両方の記事を書けたらなと考えています。

ただ今月は父の初盆の供養もありますし、
ちょっと個人的にどたばたする部分もあり、
多少記事は少なくなってしまうかもしれません。

それでは今後とも当ブログをよろしくお願いいたします。
 





高村智恵子作「花」