らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【プロレス】9 アントニオ猪木(春一番)



 

日本を代表するプロレスラーは?と問われれば、
まずもって力道山ジャイアント馬場アントニオ猪木の三人が挙げられると思います。
自分はどちらかというと、
ジャイアント馬場率いる全日本プロレスの方を好んでいましたが、
それでもアントニオ猪木新日本プロレスのラジカルな動向には注目せざるを得ませんでした。

猪木のカリスマ的人気は、特に自分が一番プロレスを見ていた1980年代にはスゴいものがあり、
その一挙手一投足に日本のプロレスファンは振り回されていたと言っても過言ではありません。

異種格闘技戦で相対したモハメッド・アリから「ペリカン野郎」と称されたその特異な容貌は、
アゴを突き出して相手を睨みつければ、誰でも猪木のモノマネの出来上がりという簡単さもあり、
子ども達の間で大流行しました。

その猪木の存在は芸能界にも影響を与え、
猪木のモノマネ芸人というキャラクターすら登場しました。

そのモノマネの第一人者が芸人の春一番さん。

そもそも思うのですが、
モノマネというのは、芸術でいうところの絵画製作に似ているところがあるような気がします。

あまり生真面目に読まないで、リラックスして聞いて欲しいのですが(^_^;)

絵画とモノマネの共通点は、ある対象を写し取るというところにあります。
しかし、記録写真とは異なり、
表現者の感性がピンとくる、対象の特徴的な部分をデフォルメして表現されるわけです。

絵画において、その部分が芸術的センスに優れていれば、
名画ということになるわけですが、
的を得ておらず、見る者の感性に訴えるものがなければ、
世の人々から賞賛される作品とはならないわけです。

モノマネもほぼ同じで、本物と全くの瓜二つの完全なコピーは、
感心はしますけれども、必ずしも面白いというわけでなく、
表現者つまりモノマネする人のデフォルメがあってこそ
初めて面白いと感じるところがあります。

そのデフォルメがツボを心得ていれば面白いし、そうでなければ面白くない。

モノマネ芸人を強引に画家に例えると、
モノマネ四天王といわれるコロッケさんあたりはピカソというところでしょうか(^_^;)

デフォルメがすさまじく大胆で、本来の形を失っているほどですが、
モノマネした対象の強烈な個性を感じます。
ただ好き嫌いは分かれるところがある。



https://www.youtube.com/watch?v=ceFKy0ZfvfY


それに対し、春一番さんはフェルメールであるかなと。

なにげない日常を描いている中に深い観察があるといいますか(笑)
表立って奇をてらうことは特に何もしていない、
猪木の日常的なコメントを述べているだけのモノマネもあるのですが
猪木を知る者にとっては繰り返し見ても面白い。

 

その全盛期には猪木が春一番のモノマネをしているといわれたほど(笑)

これはモノマネ芸人にとってスゴい誉め言葉じゃないですか。
だって本人より本人に似ているって言われたんですから(^_^;)


その春一番さんも一昨日の7月3日、肝硬変にて47歳にて亡くなりました。
若いですね(-.-;)
謹んでお悔やみ申し上げます。

なお、冒頭の画像はアントニオ猪木氏ではなく、
そのモノマネをしている春一番さんのものです。

「追悼 アントニオ猪木」としましたのは、「追悼 春一番」と彼自身の名を記するより、
彼に似つかわしいのではないかと感じたからで、他意はございません。


それでは彼の在りし日の姿を偲びながら