らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

「山は教えてくれる」サトウハチロー



 

亡くなった父は、生前、夏場に母と山登りなどをしておりまして、
死んだら山に骨を撒いてくれ。
というようなことを母に漏らしていたそうです。

で、どの山に撒いてくれって言ってたの?と母に尋ねると、
中央アルプス木曽御嶽山の中腹にある賽の河原というところだそうです。

賽の河原って(-.-;)
死んだら中身はもう行ってるところかもしれないのに、
何も骨までそんな似たところに行かなくても…
とも思いましたが、
まあ故人の意志ですから(汗)

御嶽山は天気のいい時には名古屋からも眺めることができる
三千メートルを超える、行者修行の山で有名な霊山です。

名古屋の駅ビルなどに昇ると、冬場天気がいいと、こんな風に見えます。

http://itomerushion.c.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_75f/itomerushion/m_E5BEA1E5B6BDE5B1B1.JPG?c=a2
 
 

で、山登りというのは、興味のない人にとっては
どうしてあんな大変な苦しくてツラいことをやるんだと思うと思うんです。

世界各国でそう思っている人がいるようで、
世界最高峰エベレストの初登頂に挑戦していたジョージ・ハーバート・リー・マロリーに、
あなたはなぜ山に登るんですか?と尋ねた人がいます。

それに対する彼の答えが、
かも有名な「そこに山があるからだ(Because it is there. )。」

この言葉は非常に哲学的であり、詩的であり、
滋味深いものにも感じますが、
実は、咄嗟にそのように尋ねられて、苦し紛れについて出た言葉だとも言われています。

今となっては真偽のほどは定かではありませんが、
どちらにしてもその言葉だけでは、
山を経験したことない人には、
その魅力が具体的に伝わらない部分があります。

自分としても、なんとなく自身の心に
山の魅力というものを感じることはできても、
今ひとつ言葉にして他人に感じてもらうよう
上手く説明できないといいますか、歯痒く思う部分があります。

しかし、この人が山の魅力というものを余すところなく、教えて下さいました。

この詩を初めて目にした時、
ああ、そうだ、自分はこういうことを言いたかったんだよ!
という思いの連続でした。

山について語った本当に素敵な詩です。
この作品で、ぜひ山の魅力に触れてみていただきたいと思います。




「山は教えてくれる」     
        
           サトウハチロー



山は教えてくれる
ボクたちに教えてくれる
しっかりと教えてくれる


山はうつくしさと
やさしさと
きびしさを持っている


山は透き通った礼儀と
正しき節度を
静かに唄っている
 

ときには ボクたちをたしなめ
ときには はげまし
ときには ものすごく叱りつける
 

山は言う・・・・・慎重であれ
訓練をかさねろ
甘い心はすてろ


山はしかめっつらと
とてつもない すばらしき微笑の
半分半分の持主
 
 
山はよきおやぢ
山はしたしめる先生
山は敬愛する先輩
 
 
山は教えてくれる
ボクたちに教えてくれる
いつも しっかり教えてくれる 
 


 
 
 
 
 





 
 
 
 
 
 
 





なお、こちら3点の画像はいつも懇意にしていただいている
「富士と野の花のブログ」から承諾を得てお借りしました。