らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

「ことばはやさしく美しくひびきよく…」サトウハチロー

 
もう早いもので1月も半ばを過ぎ、小正月を迎えようとしています。
先の正月は非常に慌ただしかったので、
この三連休は少し落ち着いて、ゆっくりしています。

ところで今年のブログでの目標は、年初の「笠地蔵」の記事で書きましたように、
https://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/12380573.html
小さな、ささやかな思いを見いだして、
それを積み重ねてゆくことであると申し上げました。

それでは昨年の年初に立てた目標は何だったかというと、
万葉集山上憶良の歌を紹介して、
自分の発する言葉で、幸いをもたらすことができるよう、
自分の発する言葉が、楽しい気持ちになったり、嬉しい気持ちになったり、
何かのインスピレーションをもたらすきっかけになるように、
言葉を大切にあつかう。

ということを掲げていました。
(参考記事)http://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/10842681.html

昨年の目標は、年が改まったから、もう無しで…
というわけではありません。
引き続き、こちらも忘れぬようにしてゆきたいと思います。

しかし、具体的に、言葉を大切に扱うとは、どういうことをいうのでしょうか。
幸せな気持ちになったり、楽しい気持ちになったり、嬉しい気持ちになったりする言葉とは
どのようなものをいうのでしょうか。

申し訳ないことですが、自分の乏しい語彙力、表現力では、
なかなかそれを上手く説明することができず、
せいぜい汚い言葉、他人を罵倒すような言葉、蔑むような言葉を使わないというような、
消極的なことぐらいしか思いつくことができません。

では積極的に、どのような言葉が、人々をそのような気持ちにさせるのか。

今回紹介する、このサトウハチローさんの詩を知って、
まさに目からウロコが落ちたというか、
目の前の視界がぱっと開けたような気持ちになりました。

小難しい表現は一切使っておらず、平易な表現で構成されている
サトウハチローさんのこの詩、さすがとしか言いようがありません。
表現の豊さとは、知識の量やマニアックな知識のひけらかしなどではありません。
ひとつの言葉にいかに習熟しているか、思いを込められるか、
そういうものであると感じます。

作品を後の世に残す人というのは、
表現としての言葉をなんと繊細に、丁寧に、かつ大切に扱っているのでしょうか。
並べて比べると、
いかに自分が言葉をぞんざいに扱っているかを思い知らされます。

ですから、今年はこの詩をかみしめて、
さらなる表現の向上に努めてゆきたいと思っています。




「ことばはやさしく美しくひびきよく…」
 
                     サトウハチロー



美しいことばは
相手にキモチよくつたわる
ひびきのよいことばは
相手のキモチをなごやかにする


ことばで 語り
ことばで 受け答える
ことばで はげまし
ことばで 礼をいう


よくわかることばほど
うれしいものはない
やさしいことば使いは
おたがいの心をむすびつける


ことばがすらすらと出た日は
一日たのしい
ことばがつかえた日は
夜までくるしい


だがボクは
共通語だけを
美しいとは思っていない
方言でなければ
あらわせないもの
言いつくせない味や色や形や匂い
それをふりすててはいけない
それはそれで
とりいれなければいけない
それを
話しの間にあしらってこそ
その人のよさが出る
その人のよさがにじみ出る


おはようからおやすみまで ことば
外でも家でも ことば
ともだちとも ことば
買物も ことば


ことばは
いつもいっしょにいる
ことばが足ぶみしないで
唇から出るようになればしめたものだ


ことばで 動き
ことばで よろこぶ
ことばで 嘆き
ことばで うなだれる


美しいことばは
相手にキモチよくつたわる
ひびきのよいことばは
相手のキモチをなごやかにする