らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【クラシック音楽】ヴァイオリンを彩る名花達 前編

今までクラシック音楽の記事で、
いろいろな演奏家を紹介してきましたが、
残念ながら、もう既に亡くなられてしまった方もいらっしゃいます。

が、しかし、今現在活躍中の
素晴らしい演奏家もたくさんいます。

ことにヴァイオリンにおいては、
ここ日本において、大変素晴らしい才能がたくさん生まれています。

その何が良いかというと
その人達の演奏を、今現在、生(ライブ)で聴くことができるということです。
生(ライブ)体験は、やはりレコードでは感じ得ない格別なものがあります。

今回は、自分が生(ライブ)で聴いたことがあり、
現在も現役で活躍している
女流ヴァイオリンの名花達を紹介したいと思います。

ちなみに自分はクラシック音楽においては、
かわいいとかの容姿で演奏家を選びません。
演奏の素晴らしさそれのみで勝負です(`ヘ´)

そして演奏家それぞれに個性がありますから、
十人十様の素晴らしい演奏があります。
素晴らしい演奏はひとつに決められるものではありません。
 
自分の好みでいうと、
音楽を深く慈しんでくれる人。
また哲学ではなく、音楽ですから、
やはり歌心の乏しい演奏は、
ちょっと個人的に物足りません。

軽々と弾きこなす超絶技巧的風演奏が、今流行りですが、
自分はヴァイオリンの曲芸を聞いて
喜んでいるのではありません。
音符に込められた思いをしっかり読み取って、
存分に引き出してくれる演奏を望んでいます。



神尾真由子さん」

21歳の時、4年に一度行われる
チャイコフスキー国際コンクールで優勝。
以来、彼女の名は世界に知れ渡りました。

しかし実は、その7年前に、
自分は彼女の実演を聴いたことがあります。
場所は三鷹市の武蔵野文化会館にて、
曲目は、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲でした。
その時、彼女14歳。

ヴァイオリンの凄い演奏をする
女の子がいるとの噂を聞き、駆けつけました。

見た目は本当に華奢な普通の中学生の女の子でしたが、
曲が始まると、会場の空気が一変。
思い切りよくヴァイオリンを自在にうならせる音色に、
観客はいっぺんに惹き付けられました。
その鬼気迫る迫力と集中力は、
聴いていて身動きひとつできないくらい、
というより身動きしている間に
音ひとつでも聞き逃してしまうのが惜しいと思うほどのものでした。

会場に存在する空気全てが
彼女のヴァイオリンに引きずり込まれてしまうような。。
そんな感じでした。

第1楽章が終わった時、
会場全体から、おおっという、溜め息とも、どよめきともいえない声が思わず漏れました。
これはクラシックのコンサートではめったにないことなんです。

彼女の持ち味は、音楽を見切った思い切りの良さと、
その集中力の素晴らしさにあります。
その渾身を込めて弾き出される音楽は、
何度耳にしても、息がつまるような迫力を感じ、
思わず聴き入ってしまいます。

ただ、彼女とて一人の人間。
時には集中力が保てない時もあります。
そういう時は、音楽が単調に聴こえてしまうこともあります。

ですから、これからまだまだ成長し、
伸びてゆく人だと感じています。

しかし、ツボにはまった神尾真由子さんの演奏は凄まじいものがあります。
そして全身全霊で音楽に対峙している姿に思わず惹き付けられます。

演奏は、そのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を挙げておきます。
第1楽章だけで結構ですので、
ぜひお聴きください。

第1楽章
http://www.youtube.com/watch?v=WHUJ4tI16qM
http://www.youtube.com/watch?v=MxtLWYV0OM8
第2楽章
http://www.youtube.com/watch?v=7lojCHa9qQE
第3楽章
http://www.youtube.com/watch?v=0s2ujgX2Ahg


庄司紗矢香さん」

16歳の時、パガニーニ国際コンクールで優勝。

しっとりした感じで、とっても、かわいいです(^^)
それに見合わぬアルトな声がとてもキュートです。

彼女の演奏の魅力は、その豊かな歌心にあります。

パガニーニという人は、リストやシューマンと同じ時代に活躍したヴァイオリンの名手で、
たっぷりとヴァイオリンに歌わせたその旋律は、
今でも人々に愛されています。
「ラ・カンパネラ」の原曲は、この人の作曲ですね。

庄司さんが、そのようなヴァイオリニストの冠を戴いたコンクールに優勝したことは、
さもありなんという感じです。

先の神尾さんに比べると、息がつまるような迫力や集中力というのは
演奏の前面に押し出されてきませんが、
聴いていて、思わずほだされてしまう歌心のようなものは一枚上手に感じます。
しかし、そのたおやかな歌心の中に、
内に闘志を秘めているという感じでしょうか。
白鳥の足かきとでもいいますか。

こういう女性は、外見おとなしそうでも、
意外と頑固だったりするんですよね。
まあそれはどうでもよい話ですが(^_^;)


彼女の素晴らしさは、やはりパガニーニの曲の演奏に
よく表れているような気がします。
ただ演奏オンリーのものが見つからなかったので、
彼女を特集した番組に流れる
パガニーニのヴァイオリン協奏曲の演奏をお聴きください。
余力があれば、番組自体も見ていただくと、
彼女の人となりもわかり、なかなか興味深いですよ。
http://www.youtube.com/watch?v=rtoUFuwal0c&list=PLBE386CBC9454C99C&index=1

なお、神尾さんの演奏との聴き比べも兼ねて、
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の演奏も挙げておきます。


これも大変素晴らしく、彼女の良さもよく表れています。
第3楽章のラストは、いつも秘めている闘志が
思わずあらわになっている場面もあり、
普段は、かよわい女性なんですが、
聴いていて思わず武者震いしてしまう迫力を感じる瞬間があります。
なかなか良い聴き比べになるのではと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=GAkw_Wi4yIo


さて最後にお詫びですが、
本当はこの記事で、3人の演奏家を紹介するつもりでしたが、
長くなってしまったので前後編に分けました。

後編では、神尾真由子さんの神がかった迫力、集中力と
庄司紗矢香さんの豊かな歌心の、
両方を兼ね備えているともいえる女性演奏家を紹介します。
クラシック音楽を愛好される方は予想がつくかも(^^)
お楽しみに。