らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【閑話休題】オフィスのお話五編

今日は秋の気晴らしに、
オフィスの愉快な仲間達?との、
ショートショートを、いくつかお送りしようと思います。

これは全て実話です(^_^;)



飛蚊症?」

数日間ずっと、書類監査をしていた先輩が、
思わず目をつぶって、苦しそうに呻(うめ)いた。

「うわっ、やばい。
これ、ひょっとして、飛蚊症ってやつかな。
俺の目の前を…無数のおたまじゃくしが泳いでる…」


人によって生き物いろいろあるんでしょうか…(^_^;)



「おとこ教室」

ある駅のホームで電車待ちをしていた時、
同行していた同僚が急にケタケタ笑い出した。

ひょっとして変な宇宙パワーか何か浴びて、狂っちゃったのかと、
やや引き気味に眺めていると、

笑いながら、同僚曰わく
「おとこ教室って一体何を教える教室なんだろうねw
日本女性のたしなみにって書いてあるけど、
女性のたしなみに、おとこ教室ってw」

と、笑って彼が指差す看板には
「おこと教室」と書いてあった。



「ホーク・アイ(鷹の目)をもつ男」

ある時、隣の課の同僚(30代半ば独身)が血相を変えて、
自分のところにやって来た。
「もぞさん!〇〇部長(60代半ば女性)、
お体の具合が悪いんですかね?!
ちょっと心配で。
何かご存知ありませんか?」

「いや、何も聞いてないけど、どうして?」

「あのですね、前は部長のまぶたのシワは、
二重くらいだったんですけど、
最近、しわが四重でずっと変わらないんですよ。
これって何か病気じゃないですかね。」


また、ある日、彼が自分のところにやってきた。
「もぞさん!◎◎さん(30代未婚女性)、
最近、ちょっと太りましたよね。」

「あ~、そうなの?
ちょっとわからないけど、どうして?」

「あのですね、前は笑うと、ただの二重あごだったんですけど、
最近は三重あごになることが多いんですよ。
おそらく5キロは肥りましたよ。」


一重あご分、なぜ5キロの計算…



これを読んで笑っているあなたも、
ホーク・アイの鋭い眼差しに
じつと見つめられているかもしれない…



「義侠心厚き男」

ある日、同僚が半ば怒りながら、自分のところへやって来た。

「もぞさん!今回の就業規則の改定見ましたか。
すごい改悪されましたよ。
だって最寄り駅から2km以内に居住する者には、
駅までのバス定期代を支給しないんですよ。」

「あれ、駅からそんな遠いところに住んでたっけ?」

「いや、自分は駅から歩いて10分なんで
関係ないんですけども。

でも女の人が、真夏に2kmも歩いたら、
汗で化粧が全部取れちゃうじゃないですか!」


…彼は一体何と闘っているのだろう…



「モーニングコール」


或る男が、小春日和のお昼過ぎに、
ほとんど周りが出払ったオフィスで、
一人黙々とデスクワークをしていました。

少しお昼を食べ過ぎてしまったせいか、
男はつい、うとうとと…

しかし、そのうち、布団に入ったら、すぐ寝入ってしまうであろう、
強烈な眠気が彼を襲いました。

これはいけない…と必死に眠気を振り払おうとしましたが、
押し寄せる眠気にどうしても勝てず、
男は、ついにうつらうつら舟を漕ぎ始めてしまいました。

あー、なんだかとても気持ちいいなあと
ふわふわした心地になってきた、その時でした。
彼の机の電話に、けたたましく内線のベルが…

はっとして我に帰って、受話器を取ると、

「もたんくん、寝ちゃダメだ。
起きて起きて。頑張って。」

聞き覚えがある声の主の方を、ふと見ると、
机の列3つほど向こうに座っている、
同じ趣味で仲の良い、隣の課の課長(40代後半)が、
受話器を持ちながら、こちらを見ているではありませんか。

自分と目が合うと課長は、
ようっという感じで軽く手を上げました。

男は恥ずかしいやら、なんともいえないバツの悪さから、
思わずカッと顔が赤くなりましたが、
すぐ気を取り直して、また黙々と仕事に勤しみ始めたのでした。
課長もまた、何事もなかったかのように、
いつもの仕事に戻ってゆきました。


オフィスの窓から、明るく静かな秋の日差しが差し込む、
とある日の午後のお話でした。


                                終わり