らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【テレビ番組】大河ドラマ「太平記」鎌倉幕府滅亡の回


 
 
 
「耳無し芳一」の記事から、平家→源氏→北条氏と、
時の支配者の盛衰を追ってゆく過程で、このドラマを視聴しました。
1991年に放送された大河ドラマです。

自分が見たのは、20~23回が収められた第6巻で、
「足利決起」「京都攻防」「鎌倉炎上」「凱旋」
など鎌倉幕府滅亡に至る一連の話。


朝廷方との争いである承久の乱、元冦などがあったものの、
北条氏の鎌倉支配が定まって100年以上経ち、
当時の北条家当主北条高時は、平和に飽いていました。
彼自身、田楽や闘犬にうつつを抜かし、政治をおろそかにし、
側近は政争に明け暮れる毎日。


 

そこに承久の乱から100年間、鎌倉方に頭を抑えられ続け、
悶々と時を送っていた後醍醐天皇をはじめとする朝廷方が、天下奪回を企てます。

しかし、鎌倉方とて滅ぼされるのが当然の、悪人の集団というわけではありません。
金沢文庫を創設した金沢家のように教養豊かな人々や、
親族のことを思いやり、その安否を案ずる人々。
北条家の下で、世をより良くしようという未来ある若者もいます。


ではどうして鎌倉方は朝廷方に遅れをとってしまったのか。


思うに、鎌倉方は平和に馴れ過ぎてしまって、
自分達の力を過信していた。
百年以上、曲がりなにも、自分達による安定が続き、
いつの間にやら、それが途絶えるはずがないと、
心のどこかで盲信していた。

平和を享受し、尊ぶうちはまだよい。
しかし平和に飽いた時、その平穏はあっけないきっかけで破られてしまう。

北条氏だけでなく、平家とて全く同じ。

源氏は平和に飽く間もなく、兄弟親族同士で殺し合い、滅亡してしまったけれど、
その行く末に劣らず、
その過信、慢心が招いた結果も悲惨なものです。
敵に包囲され、男のみならず女子供まで、
東勝寺(寺の名前も皮肉なものです。東(鎌倉方)が勝つの意ですから)
にて一族数百人集団自決。

その東勝寺跡は、今は腹切りやぐら跡と呼ばれ、
鎌倉中心部近くにありながら、
苔むした石積みの塚があるのみで、ひっそりとしています。
 
 
 

 



 
 
 
 
真の平和というものは、
何も起こらないものを、ただ受け取ることではなく、
常に創り出してゆかねばならないものなのかもしれません。


しかし、それにしてもこの「太平記」、出ている役者の皆さんが若い。
足利尊氏役の真田広之さんはもちろん、
宮沢りえさんや北畠顕家役の後藤久美子さん。
後藤久美子さんは、美少年の武将そのものです。

北条高時役の片岡鶴太郎さん。
巷で言われているように決して暗愚ではない、
しかし上に立つ者としては心の弱さがある…
そんな高時役を好演しています。
側近役の、今は亡きフランキー堺さん、児玉清さんも懐かしい。
そして恥ずかしながら、ちょっと告白すると、
高時の側女役の小田茜さん、結構好きだったんです(^_^;)

後醍醐天皇役の片岡孝夫さんも怪演です。
鎌倉が陥落し、北条一族全滅の知らせを受けた後醍醐天皇が、
皆の目の前で、はばかりなく大口を開けて高笑いするシーンは、
この帝も決して聖人君子でなく、
それを装う、ただの俗物に過ぎないとこを知らしめ、
その後の果てしない争いを暗示するものがあります。

今年の大河ドラマ平清盛」で
最終的に勝利した者が、その後、どうなったかを知らしめるものとして、
ぜひ御視聴をお勧めします。