【クラシック音楽】指揮者三編
「踊るおじさん」
あれは数年前、子供でも入場できる、
ある音楽祭のコンサートに行った時のこと。
曲が最高潮に盛り上がり、オーケストラも指揮者もノリノリで、
自分も演奏にぐいぐい引き込まれていた最中、
隣に座っていた小さな子供が一言。
「ママぁ~、台の上でおじちゃんが、楽しそうに踊ってるね」
その瞬間、もはや自分の目には、
台の上の指揮者が、踊っているようにしか見えなくなってしまいました(^_^;)
やっとのことで笑いを必死にこらえてこらえて、
本当に苦しい時間を過ごしたのでした。
それ以来、アクションの大きい指揮をする指揮者を見ると、
楽しそうに踊っているようにしか見えなくなる時があり、
どなたか、この呪縛から救い出して欲しいんですけれども(汗)
いい参考の映像を…と思ったのですが、
なかなか指揮者の引いた絵の、
適当なものが見つからなくて(^_^;)
とりあえずこれを
http://www.youtube.com/watch?v=LIKuR93gEKg
やはり、ちょっと踊っているように見えますね(^_^;)
「指揮棒」
あれは大学生の頃、
クラシック音楽が趣味の友人の家に行った時、
机の上に、なぜか指揮者が指揮の際使用する指揮棒が置いてありました。
彼は指揮をする機会もないはずですし、
??と思い、
「こんなもの、なんでここに置いてあるの?」
と尋ねると、
友人は、やおら指揮棒を手にとり、
「こうやって使うんだ!」
と、ベートーベンの交響曲のCDをかけ、
音楽に合わせて一心不乱に振り始めました。
あまりに突然の出来事にあ然として、
思わず、友人の指揮ぶり?に見入っていましたが、
ある種の自己陶酔状態といいますか、
トランス状態といいますか、
傍目から見るとかなりヤバい映像でした(^^;)
20分くらいで第1楽章が終わり、
友人はCDを停止させ、
「どうだった?!」
と息をはずませながら、自分に意見を求めましたが、
どうだったと言われても…(^_^;)
怖かった。というのはかわいそうですし(^^;)
口ごもっていると、
友人がいろいろ蘊蓄めいたことをペラペラと。
交響曲1曲指揮すると結構いい運動になるとか、
振ってみて初めて曲の細部がわかる部分があるとか、
その他いろいろ…
家に帰って、自分の家には指揮棒がないので、
箸で代用してやってみたんですが、
これが意外に楽しいんです。
自分の指揮で、オーケストラが動いているようにも見え、
オーケストラの音に合わせて、自分が踊っているようにも見え…
あれ?ここって何拍子だっけ?
というような細かい?ことは無視して、
とにかく交響曲1曲振り終わりました。
数十分動きっぱなしで、もう全身汗だく。
次の日朝起きたら、筋肉痛で体が痛い(笑)
とういうわけで、皆さん。
指揮者というのは、非常に体力を使うものなのです。
「なぜ指揮者は存在するのか?」
クラシック音楽で、なぜ指揮者って存在するのか?
と思ったことはありませんか。
自分も最初の頃、ちょっと不思議に感じていました。
なんとなくわかってきたなという段階でも、
イマイチそれを上手く説明することができませんでした。
そんな時、見たのが「トスカニーニ」という映画。
トスカニーニ(1867~1957)とは、20世紀前半に大活躍した指揮者の巨匠です。
劇中、自分の進むべき道に悩むトスカニーニ青年に
このような言葉が投げかけられます。
「指揮者の為すことは神の御業そのもの。
混沌とした世界を調和の世界に変える」
指揮者はどうして存在するかの説明に、
これ以上一語たりとて必要ない、
完璧に説明尽くしたといえるセリフで、
自分もこれ以上何もつけ加えることができません。
ちなみに、これはトスカニーニの実際の演奏です。当時85歳。
指揮をしたことのある自分には、よくわかりますが(^_^;)、
体力と気力、やはり並外れたものを感じます。
彼は、混沌と勝手に鳴り響く音の世界を
見事調和の世界に変えているでしょうか。
御自身でぜひ聴いてみてください。