【けっさんさん2月課題分】小説「熟少女仮面」 蛹(さなぎ)編
「この作品はフィクションであり、
実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。」
そんなこんなで最初のうちは、家の中でコスチュームを着て、喜んでいたのですが、
そのうち飽き足らなくなって、ちょっとだけで外で…と考えるようになりました。
しかし、近所の公園だと…
ご近所さんの目もありますし、あそこの奥さん…などと変な噂が立ってもいけませんので、
町の外れにあるひっそりとした神社の境内に。
買い物などでいつも愛用の軽自動車に乗って、出かけてみました。
すると雰囲気がとてもいいんです。
高くそびえる杉木立がひんやりと独特の寂しさを醸し出していて、
いかにも何かが潜んでそうな感じです。
ついでに家内安全のお参りもできますしね。
杉木立から香る木のいい匂いを目一杯吸い込みながら、ちょっとした運動感覚で。
トレーニングウエアだとすぐ挫折してしまいそうですが、
コスチュームだとなぜか身も心も引き締まります。
仮面効果っていうんでしょうか。
やはり物事はまず形から。
妻を美人にするには、
まず内面からなどとケチなことを言わずに、
身銭を切って、まずおしゃれをさせてあげなければならないのです。
そんなこんなの仮面効果で、
なんとなく高くジャンプできるようになり、
なんとなく運動能力もアップしまして、
おかげで、帰ってからのご飯も大変おいしくいただけるようになりました。
そのうち慣れてくると、神社の石の階段からジャンプして繰り出す
ジャンピング蝶の舞などもできるようになってきました。
ジャンプして着地って平衡感覚がきちんとしてないとダメで、
なかなか難しいんです。
でも、これをマスターすれば、背がちっちゃい弱点をカバーできますね。
忍者の麻跳びではありませんが、
日々のトレーニングのおかげで、
それなりに高く舞い上がることができるようになりました。
蝶の舞というにはまだまだですけどもね。
そんなある日、出張から帰ってきたゆうちゃんと一緒に晩ご飯を食べていると、
テレビのローカルニュースで、ガラス窓を割って押し入る凶悪な連続空き巣のニュースが。
それを見たゆうちゃんが
「おいおい、これ、ウチの近所じゃないか。
雪乃、ボケッとしてるから留守中ちょっと心配だよ。」
夫婦とはいえ、失礼しちゃいますよね。
わたしは物静かなだけで、ボケッとしているわけではないんですけれども。のはずです。
犯人の似顔絵も公開されていましたが、
ひょろっとした、いかにも極悪犯という感じです。
本当に怖い世の中。早く捕まって欲しいものです。
そんなこんなで、ゆうちゃんはまた出張に出かけ、
わたしも普段のトレーニング&のたのたの毎日に戻りました。
いつも通り、郊外の神社でトレーニングをしておりますと、
社の辺りにいつもは感じない人の気配がいたします。
神社の人かなとおそるおそる中をのぞくと
暗闇の中で何か蠢くものが…
どこかで見たような顔?
暗闇の中にいたその顔は、例のひょろっとした極悪犯そっくりではありませんか。
「おい!誰かいるのか!」
男は私の気配に気づいたのか、表に向かって歩いてきました。
やばい、これはやばいです。
どうしよう、どうしようと迷っている間に、
あっさり男に見つかってしまいました。
男はやぶにらみに私をにらみつけながら、
ゆっくりこちらに近づいてきました。
非常にまずい状況です。
どうすればいいんでしょうか…、私。
「熟少女仮面」蛹(さなぎ)編完
飛翔編に続く
実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。」
そんなこんなで最初のうちは、家の中でコスチュームを着て、喜んでいたのですが、
そのうち飽き足らなくなって、ちょっとだけで外で…と考えるようになりました。
しかし、近所の公園だと…
ご近所さんの目もありますし、あそこの奥さん…などと変な噂が立ってもいけませんので、
町の外れにあるひっそりとした神社の境内に。
買い物などでいつも愛用の軽自動車に乗って、出かけてみました。
すると雰囲気がとてもいいんです。
高くそびえる杉木立がひんやりと独特の寂しさを醸し出していて、
いかにも何かが潜んでそうな感じです。
ついでに家内安全のお参りもできますしね。
杉木立から香る木のいい匂いを目一杯吸い込みながら、ちょっとした運動感覚で。
トレーニングウエアだとすぐ挫折してしまいそうですが、
コスチュームだとなぜか身も心も引き締まります。
仮面効果っていうんでしょうか。
やはり物事はまず形から。
妻を美人にするには、
まず内面からなどとケチなことを言わずに、
身銭を切って、まずおしゃれをさせてあげなければならないのです。
そんなこんなの仮面効果で、
なんとなく高くジャンプできるようになり、
なんとなく運動能力もアップしまして、
おかげで、帰ってからのご飯も大変おいしくいただけるようになりました。
そのうち慣れてくると、神社の石の階段からジャンプして繰り出す
ジャンピング蝶の舞などもできるようになってきました。
ジャンプして着地って平衡感覚がきちんとしてないとダメで、
なかなか難しいんです。
でも、これをマスターすれば、背がちっちゃい弱点をカバーできますね。
忍者の麻跳びではありませんが、
日々のトレーニングのおかげで、
それなりに高く舞い上がることができるようになりました。
蝶の舞というにはまだまだですけどもね。
そんなある日、出張から帰ってきたゆうちゃんと一緒に晩ご飯を食べていると、
テレビのローカルニュースで、ガラス窓を割って押し入る凶悪な連続空き巣のニュースが。
それを見たゆうちゃんが
「おいおい、これ、ウチの近所じゃないか。
雪乃、ボケッとしてるから留守中ちょっと心配だよ。」
夫婦とはいえ、失礼しちゃいますよね。
わたしは物静かなだけで、ボケッとしているわけではないんですけれども。のはずです。
犯人の似顔絵も公開されていましたが、
ひょろっとした、いかにも極悪犯という感じです。
本当に怖い世の中。早く捕まって欲しいものです。
そんなこんなで、ゆうちゃんはまた出張に出かけ、
わたしも普段のトレーニング&のたのたの毎日に戻りました。
いつも通り、郊外の神社でトレーニングをしておりますと、
社の辺りにいつもは感じない人の気配がいたします。
神社の人かなとおそるおそる中をのぞくと
暗闇の中で何か蠢くものが…
どこかで見たような顔?
暗闇の中にいたその顔は、例のひょろっとした極悪犯そっくりではありませんか。
「おい!誰かいるのか!」
男は私の気配に気づいたのか、表に向かって歩いてきました。
やばい、これはやばいです。
どうしよう、どうしようと迷っている間に、
あっさり男に見つかってしまいました。
男はやぶにらみに私をにらみつけながら、
ゆっくりこちらに近づいてきました。
非常にまずい状況です。
どうすればいいんでしょうか…、私。
「熟少女仮面」蛹(さなぎ)編完
飛翔編に続く