らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【けっさんさん2月課題分】小説「熟少女仮面」 誕生編


「この作品はフィクションであり、
実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。」



わたくし、地方在住で専業主婦をしております雪乃と申します。
夫のゆうちゃんとは大恋愛の末結婚して、はや十余年。
子供はおりません。
今流行りのアラフォー世代ど真ん中っていうんでしょうか。

ゆうちゃんは仕事がら出張も多いので、
まったりと一日家事をしたり、のたのたと過ごしております。

このままでは時だけがむなしく過ぎ去ってしまうと、
焦りを感じ始めた今日この頃、
テレビで格闘技の試合を見ておりました。

外国人選手の繰り出す「かかと落とし」っていうんですか。
すごい技ですね、あれって。
あの技を会得するには相当の鍛錬が…

どれほどすごいか、ちょっと、わたしもためしにやってみたくなりました。

「はっ!」「よっ!」

…あれ、意外にできる

わたしってこんなに体柔らかかったかしら。

「はっ!」「よっ!」

できるできる

「くらえ!かかと落とし」

わたしって
もしかしたら格闘技のセンスあるのかも。

ただひとつ難点をいうと、
わたし背がとてもちっちゃいんで、相手が目の前で正座してくれないと、
脳天にヒットしないことですね。

でも「かかと落とし」ってそのまんまのネーミングもいまいち…
今ひとつ美的感覚に欠けるというか…
わたしが使う場合には別の呼び名で。

何がいいでしょう?
女の子らしい華麗でオシャレなネーミングが…

思いつきました。
「蝶の舞い」
どうでしょう。

「くらえ!蝶の舞い!はっ!よっ!」

きまった…


その日はそれで終わったんですけど、
寝床でいろいろ考えていたら、
物事はやはり何事もまず形から。
コスチュームが必要だということに気がつきました。

次の日、さっそくいろいろな本を買い込んで、
デザインをどうするか考えました。

やはり既婚者ですから、不必要な体の露出は避け、
動きやすく温かいをコンセプトに考えました。

色はピンク。
必殺技が「蝶の舞い」なんですから、ひらひらもふんだんにつけておきました。

顔はゆうちゃんがいつもかわいいと言ってくれるんで、
あまり隠しすぎないようにして、
ぎりぎり正体がバレない程度に目元と口元の顔のセンターを覆う程度で。
裁断やら縫い合わせやら悪戦苦闘の末、できました。

途中ゆうちゃんが出張から帰ってきたので、
バレないように押し入れの奥に隠しておきました。

また、出張に出かけたのをしっかり見送って、
急いで家に戻って試着してみました。

いけるじゃないですか…
20代後半にも十分見えますよ、これだったら…

「くらえ!蝶の舞い!はっ!よっ!」

必殺技を繰り出すと、
コスチュームのひらひらが蝶の羽ばたきのようにひらひらして、
すごくよいんです。

なんか本物の特撮のヒロインのような気がしてきました。

そうすると次はネーミングですね。
どんなのがいいでしょうね。

熟女仮面…

ちょっと怖い気がします。
それにこれはもう少し年配方の方がお似合いのような…

美少女仮面…

美はともかく、少女はわたしの場合ちょっと虚偽告知なので、これもペケですね。

アラフォー仮面…

せっかく仮面かぶっているのに、
自分から年をばらしてどうするのって感じです。

今のわたしの心と体を表したネーミング希望なんですけど、
なかなか思いつかないものです。

熟女でもない少女でもない…
熟女でも少女でも…
熟女少女…
熟少女!?

脳に電気が走ったようにひらめきました。

少々熟し始めながら、少女のような無垢の心を失わない「熟少女仮面」。

またもや、きまった…





「熟少女仮面」誕生編完
飛翔編に続く