らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【閑話休題】七歩詩 もたんもぞ編 新年会にて

昨日は会社の新年会でした。

自分は日頃仕事上接点のない課長の横に、座ることになりました。
年は四十代半ばの方です。

仕事上接点がないというものの、私的に会話したことが何度かあり、
以前三国志の話などで盛り上がったことがあります。

ですからちょっとした兄貴分的な存在ではあります。

宴もたけなわの頃、課長は非常にフレンドリーに
「もたんくん、最近は何か面白いことしてる?」
と尋ねてきました。

それに対し、自分は
「そうですね~、昨年から詩とか和歌とか俳句を詠むようになりました」
と答えました。

すると
「えー、君はそんなガラじゃないけどなあ。
じゃあひとつここで詩を作ってみてよ。
三国志の七歩の詩みたいに、
「会社」という文字を使わずに、会社のことを詩にできる?」
という注文を出してきました。


ここで、ご存知ない方のために三国志「七歩の詩」の故事を、
おおまかに話しますと

曹丕は父曹操の死後、その後を継いで魏王となり、
ついで漢の帝から禅譲を受け、魏の皇帝となります。

ある時、後継者争いをした弟の曹植を、亡き者にしようとして、
七歩歩く間に詩を作れと命じ、
もし出来なければ国法に照らして死罪に処すと命じます。

その詩のお題は「兄弟」。
その代わり「兄弟」という文字を詩に使ってはいけないとの条件をつけます。

曹植はそれに従い、すぐさま詩を詠みました。

「豆を煮るに豆がらを燃やし
豆は釜の中に在りて泣く
本是れ同じく生まれしに
相煮ること何ぞ太だ急なる」

それは豆を兄弟に見立てた詩で

「豆も豆がらも、もともと同じものから生まれ出たのに、
豆がらで、豆を煮るとは、あまりにも無情ではないか」
と兄弟で争いあうことを嘆いたもので、曹植の代表作とされる作品。

兄の曹丕曹植の詩の才能を認め、処刑を取りやめた。


と、こんな感じです。


自分はちょっと考えて、
思いついたものがありましたので
なんとか作ってみました。

予めお断りしますが、
これは詩というよりギャグですね(^_^;)


「会社」

泳いでいるのか
浮かんでいるのか
 
濁った水の中で
口をパクパクさせ
うつろな目で
 
水の上の
青い空を
いつも見上げている

腹を上にして
浮かんでいる仲間には
見向きもせず

おまえは一体
どこに向かおうとしているのだ

もう意味もなく
水槽の中を
うろうろしたり

そんな濁った目で
人間を見るのを
よしたらどうだ



詩の雰囲気の元ネタは、学校の教科書に必ず載っている、
高村光太郎「道程」の「ぼろぼろな駝鳥」という詩です
(検索すれば作品見られます。青空文庫には収録されていません)。


しかし、作った詩?ギャグ?を聞いた課長は、妙に黙りこんでしまって
「そうか…なるほど」
と急に暗くなってしまいました(^_^;)

「あの~、これギャグですよ」
と言っても
「わかってる。そうか…」
とため息などついたりしています。

でもどんなに明るい話題を振っても、暗いままなんです。

詩とは違い、まあまあいい会社だと思っていたんですけどね、
富士山もよく見えますし。

どうしてそんな風になっちゃったか説明してくれないと、
年明けから非常に不安なんですが…

なにがそんなに彼の心に、ずしんと来たんでしょうか(^^;)


なお、新年会の話題は、このあと二次会に行ったカラオケ編に続きます(^_^;)たぶん