らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【映画】サウンド・オブ・ミュージック

 
 

映画「サウンド・オブ・ミュージック」。
邦訳すると「音楽の調べ」というところでしょうか。

音楽が、頑(かたく)なな者の心をほぐし、決心を迷って者に勇気を与え、
何が本当に大事なものか人々に知らしめる、音楽賛歌とでもいうべき映画。

原題は「トラップ・ファミリー合唱団物語」というそうですが、
映画の題名の方が名が体をよく表していていいですね。

ストーリーについては皆さんご存知の通りだと思います。

主人公マリアはちょっとおてんばな修道女見習い。
ある日、修道院長に、トラップ大佐の7人の子供たちの家庭教師をするように勧められ、
大佐邸へ向かいますが…

ということで大佐邸を舞台に様々な歌が歌われます。


オープニングの「The Sound of Music」
音楽の素晴らしさが人々を包んでゆく。
そんなことを予感させるジュリー・アンドリュースの伸びやかな歌声。


マリアが大佐邸に向かう途中、心の不安を抱いている自分を励ますために歌う
「I Have Confidence in Me(自信を持って)」

でも歌の最初からマリアはのびのびと歌っていて、
最初から自信に溢れているようにすら見えます(^_^;)

ちなみに余談ですが、
原作者のマリア・フォン・トラップすなわちマリアのモデルになった女性が、
この曲中、通行人としてワンシーンだけ映画に出演しているそうです。
そういえば女性の通行人がいたようないなかったような…


長女リーズルがボーイフレンドと逢い引きした時に
相和して歌う「Sixteen Going on Seventeen(もうすぐ17才)」

ティーンの二人のまばゆい恋心の語りに、
心の中に吹き溜まった闇のエネルギーが吹き飛んじゃいますね(^_^;)


部屋で雷におびえる子供たちのために歌う「My Favorite Things(私のお気に入り)」

これはJR東海の「そうだ、京都に行こう」のCMで使用されていましたから、
調べを聴けばかなりの人が知っているのではないでしょうか。


母の死後、父の大佐に歌うことを禁じられ、歌を一曲も知らないという子供達に、
マリアが歌の基礎、ドレミの音階から教える「Do-Re-Mi(ドレミの歌)」

これは「ドはドーナツのド♪」という日本語の歌詞もありますが、
もともとの英語そのものの歌詞の方が音楽が流れるようで格段にいいですね。


子供達の歌に心開いた大佐が、昔を懐かしむかのように情感をこめて歌う
「Edelweiss(エーデルワイス)」(画像の花参照)

妻が死んで歌を封印していた大佐が、バリトンの素晴らしい歌声なんです。
ちょっとかすれ気味に歌うところなど非常に聴かせます。

エーデルワイスの歌は、家族で出演した音楽祭でも大佐が歌うのですが、
途中、祖国への思いで胸がいっぱいになり、大佐は歌えなくなってしまいます。
歌えなくなった大佐を引き継ぐようにマリアが続きを歌い、
さらに観衆が相和してエーデルワイスを歌う。
歌の力の素晴らしさ、引き継がれてゆく人から人への思いというものが感じられる、
自分の最も好きなシーンのひとつです。


大佐への愛に気づき、修道女として許されないのでないかと悩み、
修道院に逃げるように帰ってきたマリアに、修道院長が諭すように歌う
「Climb Ev'ry Mountain(すべての山に登れ)」

またこの老修道院長の歌声が本当に素晴らしいんです。
自分的にこの映画のベストシーンかもしれません。
音楽の情感・迫力が塊となって、
画面を超えて、見ている者の心にダイレクトに飛び込んできます。
歌の持つ力というものに気づかせてくれた名シーンです。

高校生の時、初めてこの映画を見て、このシーンに感動し、
この曲の歌詞を調べたことがあります。
当時はDVDなどなく英語字幕なるものもありませんし、ネットもありませんでした。
ですからひたすら映画のシーンを一時停止して、歌声をまずカタカナで聞き取って、
日本語字幕を参考に、英和辞典で該当の単語を見つけるという作業の繰り返しでした。
一応その思い入れも込めて、歌詞を掲載しておきます(意訳含みます)。


Climb every mountain
Search high and low
Follow every by way
Every path you know

すべての山に登りなさい
高い山も低い山も
すべての脇道
あなたの知っているすべての小道を歩いてみなさい

Climb every mountain
Ford every stream
Follow every rainbow
Till you find your dream

すべての山に登りなさい
すべての小川を渡り
すべての虹を追いかけなさい
あなたの夢をつかむまで

A dream that will need
All the love you can give
Every day of your life
For as long as you live

命ある限りあなたの全ての愛を
捧げることのできる夢を
(見つけるまで)

Climb every mountain
Ford every stream
Follow every rainbow
Till you find your dream

すべての山に登りなさい
すべての小川を渡り
すべての虹を追いかけなさい
あなたの夢をつかむまで


この曲はナチスドイツの支配を嫌い、
アルプスの山々を越えて家族全員で脱出するラストシーンにも使われ、
画面の雄大なアルプスの山々とあいまって、劇中効果を盛り上げています。


なお、余談ですが、映画のキャスト選出において、
マリア役としてジュリー・アンドリュースオードリー・ヘップバーンの2人が最終選考に残ったそうです。
しかしオードリー・ヘップバーンは歌唱力に難ありということで、
どんなだったろうと想像してしまいますが、
おそらく「オードリー・ヘップバーンの~」という冠が常につくことになり、
音楽の素晴らしさを知らしめる映画としては、
今のものほどにはならなかったのでないかと。

ジュリー・アンドリュースの伸びやかでおおらかで豊かな歌声があって初めて、
音楽賛歌たる名作になったと思っています。