らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【万葉集2011】17 うらぶれて物は思はじ

 
今回感じ入った歌は



うらぶれて
物は思はじ
水無瀬川(みなせがは)
ありても水は
行くといふものを



詠み人知らず



しょんぼりと
(立ち止まって)
物思いなんかするもんですか
水無瀬川(のように)
目には見えなくとも水は
流れてゆくと申しますもの


水無瀬川」とは、表面は涸れていても
地下には脈々と水が流れている、そんな川のことをいいます。
外からはわからなくとも、
心の中では絶えることなく思い続けている強い気持ちを喩える言葉として使われています。

恥ずかしながら、自分、「水無瀬川」という言葉の意味を知りませんでした。
水のもつ独特の清涼感と絶えず流れ続けるという意志の表れみたいなものが合わさって、
美しく力強く素晴らしい言の葉だと感じました。

この歌は女性が男性に対する思いを詠んだ歌ですが、
それに限らず、自分の家族への思いやら友人への思いやら生きがいやら
信念をもって生きようとすること全てに当てはまりますね。

水無瀬川
とてもいい言葉です。現代であまり使われていないようであるのは少し残念なことです。
今回「水無瀬川」という言葉を知ったことは、自分の心の中で素晴らしい宝となりました。

最後に、自分のブログ友達のブログの題名で「水無瀬川」を使っている方がいらっしゃいます。
自分はこの方の住んでいらっしゃる地域を流れているお気に入りの川の名前なのかなと思っていましたが、
この方の心の有り様を表した言葉だったんですね。
その方はまさに水無瀬川のような、表面は静かでも強い意志をもって物事にあたっておられる方です。