らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【字余りのうた】26 蝉の跡



 
「玄関の木枠に見つけた蝉の抜け殻を見て詠む」


玄関を
むんずと掴む
蝉の跡(あと)



早朝散歩していましたらと、ある民家の玄関の木枠に蝉の抜け殻を見つけました。
頼りなげな細い木枠をよくぞここまで落ちずに登ったなあと感心しました。

ドアのちょうつがいの辺りなど、とっかかりがほとんどありませんが、
一体どうやってクリアしたんでしょうか。

この蝉の身丈を人間換算すると、
ざっとビルの8~10階くらいの高さまで登って脱皮したことになりますね。

何年も過ごした土の中からまだ夜中の間に這い出して、最後の脱皮の準備をしたんでしょう。

それにしても脱皮して本体は居なくなってしまったにもかかわらず、
いまだにがっちりと玄関の木枠を掴んでいるこの抜け殻の力強さはどうでしょう。
その力強さに共鳴して一句作りました。

最初「蝉の跡」と思いついて、後で「蝉の殻」の方が良いかなと思ったんです。
しかし「殻」だと見たままだし、
何より早朝まで殻と格闘してた蝉本体の力強い生命力の余韻みたいなものは、
「跡」の方がよく表れているかなと思い、当初の形のままとしました。
ちょっと自分でもそれほど自信ないんですけども。


抜け殻のすぐ脇の大木から蝉時雨が降りそそいでいました。
ひょっとして玄関で脱皮した彼もそこで一緒に時雨れていたのかもしれませんね。
今夏真っ盛りという感じがします。