らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【万葉集2011】13 石麻呂に我物申す

今回一番感じ入った歌は



石麻呂に
我物申す
夏痩せに
良しといふものそ
鰻捕りめせ



大伴家持



石麻呂殿に
私が物申す
夏痩せに
効果てきめんということですよ
鰻を取って召し上がりなされ



万葉時代の自由で屈託のない歌にはいつも驚かされますが、この歌もそのひとつ。
大伴家持が友人吉田石麻呂に贈った歌。
「最近夏バテ気味で…」と言われ詠んだのでしょうか。

それにしても奈良時代から鰻が夏バテに効くと知られていたとは驚き。

選者の奥村彪生さんは伝承料理研究家で、
奈良時代の邸宅跡から出土された木簡などを寄りどころに、
奈良時代の料理の復元などもされています。

ちなみに奈良時代には鰻は開かないで、頭を落としてブツ切りにした。
それを削った竹に刺して炭火でこんがりと焼く。それに味噌などをつけて食べたらしい。

奥村氏の回には紹介した料理のレシピも書いてあり、
実際その料理が作れるようになっています。

実はこの自分、人生で最後に食べたい物は?と問われれば、
鰻は必ず最終候補に入っています。
母親の実家は鰻の産地愛知県三河一色のすぐそばであり、
子供の頃から美味しい鰻をパクパク食べて大きくなりました。

本当は開いて関西風に丼にするのが一番いいんですが、
ブツ切りの竹の串刺しも鰻の風味と竹の香りがあいまってとても美味しそう。

関東の人は関西(名古屋を含む)に比べ、あまり鰻を食べないような気もします。
名古屋にいた時は月に何日かは夕飯は鰻だった記憶があります。


ちなみに先月は索餅(さくべい)、今でいう太めのそうめんに該たるものを茹でて、
それに水飴などで味つけた茹で小豆をかけた「索餅のゆで小豆がけ」が紹介されていました。
奈良の寺院で写経をする役人におやつとして出されていたようです。

索餅の茹で小豆がけなんて、ひんやりと冷水で冷やした索餅に甘い茹で小豆を絡めて、
つるつると食べたら疲れがすぐ取れそう。

開いてない鰻はちょっと手に入りづらいけど、索餅の茹で小豆がけは作れそうな気がしますね。

作って食べれば、味覚で奈良時代を体感することができるかもです。