らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

「四国遍路日記」種田山頭火

今日は山頭火さんと四国遍路の旅を一緒に歩いた。

前に読んだ九州の旅よりもなんとなく穏やかな旅。旅の道連れも入れ替わり立ち替わりありにぎやかな感じだ。
お遍路さんのルートということで四国の人は勝手を知っておりもてなし慣れしているのだろうか。

徳島から高知に入り愛媛松山に至るルートだが室戸岬周辺と高知から愛媛に抜ける辺りの情景が特に素晴らしい。

「われいまここに海の青さのかぎりなし」
「おほらかにおしよせて白波」
「こんやはひとり波音につつまれて」

また太平洋を見ながら食べるおべんたうがとても美味しそう。「お弁当」だとそうでもないが「おべんたう」だとなぜか美味しそう笑

あと「土佐では酒を売る店が多すぎる!」という部分に笑った。山頭火さん、なにかすごく嬉しそうだ。



「水はみな瀧となり秋ふかし」
「岩ばしる水がたたへて青さ禊する」
「落葉しいて寝るよりほかない山のうつくしさ」
「生きの身のいのちかなしく月澄みわたる」

山頭火さんが辿った秋の遍路の旅路は本当に美しい。
俳句を通して情景が鮮やかに浮かんでくる。
いつか彼が辿った四国遍路の旅に行ってみたい。切に願う。
 
旅は最後愛媛松山に居を構え漂泊人生にピリオドを打つ形で終わる。
しかしそれから一年もたたないうちに山頭火さんは眠るように亡くなる。

「ころり往生」

非常に羨ましい。
自分もそうありたいものだがどうなるだろうか。
山頭火さんは妻子を見捨てたとか金を無心したとか非難されることも多いが、彼の書いたものや俳句など見る限り少なくともそれを開き直ったり、覆い隠そうとしたりするような人ではなかったと思う。
良きも悪きも自然体。
奇をてらわない。かっこつけない。
自然体だから全てを受け入れる。
全てを受け入れるからみんなに親しまれる。
そういうキャラに五七五にすらこだわらない自由律俳句はとても合っていたと思う。




「ころり寝ころべば青空」

山頭火「草木塔」より