らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

「貧しき信徒」八木重吉

 
八木重吉「貧しき信徒」。
今まで彼について全く知るところなく今回初見でした。

つらつらと作品をながめていきますと
なんというんでしょうか…
「曇った冬の夕暮れに雲のすきまからさしこむ一筋の弱々しい、しかし真っすぐな光」
のような作品の数々です。

要は癒し系ってことですか?と言われるとちょっと違うような気がします。
先の比喩で述べたことに尽きると言わざるを得ません。



「素朴な琴」

この明るさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美くしさに耐えかね
琴はしずかに鳴りいだすだろう



「美しくすてる」

菊の芽をとり
きくの芽をすてる
うつくしくすてる



「花がふってくると思う」

花がふってくると思う
花がふってくるとおもう
この てのひらにうけとろうとおもう



「雨」

窓をあけて雨をみていると
なんにも要らないから
こうしておだやかなきもちでいたいとおもう




繊細で静かで、透明感ある言葉が、優しく心に共鳴するという感じでしょうか。

今日は、冬の日の朝素晴らしい贈り物をいただきました。