【クラシック音楽】ラ・フォル・ジュルネ2019 ラフマニノフピアノ協奏曲第3番
前回記事にした中世ルネッサンスの音楽から、500年の時が経過して生まれた曲。
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番
歴史は神の時代から、ルネサンスそして市民革命を経て人間の時代へ。
それに相和してクラシック音楽も、神に捧げるものから、
人間を表現するものに変わって行きました。
ちょっと面白いものをお見せしますと、
前回紹介したノートルダムミサ曲の楽譜はこのようなものであるのに対し、
ラフマニノフの楽譜はこんな感じ。
前者が至極シンプルなのに対し、
ラフマニノフは、これ以上黒く塗りつぶせないと思うほどたくさんの音符。
以前、ダーウィンの進化論に影響を受けたのか、
音楽も中世から近世に進化していった。というような論法を聞いたことがありますが、
確かに楽譜を見比べると中世ルネサンスの曲は原初的で、
ラフマニノフの曲は複雑で進化したと言えるかもしれませんが、
しかし、自分は今回両方の音楽を聴いて、どちらにも感動しました。
つまりは、それぞれの時代にそれぞれの形式があり、
それぞれがそれぞれに美しさがあり素晴らしさがある。
少ない音符で多彩な音楽を表現するのも、
多くの音符で調和に満ちた音楽を創作するのも同じくらいに難しいことです。
どの時代の作曲家の仕事であろうと、それは神の御業と同じ。 混沌を調和に変える。
というところでしょうか。
さて、今回の演奏。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番は、
映画「シャイン」で一躍有名になりました。
https://blogs.yahoo.co.jp/no1685j_s_bach/3567266.html
往々にして迫力に満ちたパワフルで、たたみかけるような演奏が多いのですが
ネルソン・ゲルナーのピアノは、繊細で絹のようにしなやかで柔らかく、そして端正。
少しも強がるところはないけれども、しかし迫力がある。
こんなラフマニノフがあるのかと、聴いていて感心しました。
前にラフマニノフ自身によるこの曲の演奏のCDを聴いたことがありますが、
思ったより迫力がなくて、のっぺりした感じで拍子抜けした記憶があります。
ひょっとしたらラフマニノフの演奏も今回のような繊細かつしなやかな演奏で、
CD化の際に微妙なニュアンスが飛んでしまったのではないか。
ちなみに今回のピアニストのラフマニノフピアノ協奏曲第3番もYouTube で見つけましたが、
生で聞いた感動がいまいちぴったりと来ず、
のっぺりとしていて、この人の良さが伝わってこない。
クラシックにかかわらず、音楽にはおしなべてあることですが、
録音機器に入りきらない生の音、機械が反応しきれない人間の耳だけが反応できる音
というものが存在します。
ですから、音楽に関してはライブで聴くことがやはり欠かせません。
今回非常に感銘を受けましたピアニスト ネルソン・ゲルナー。
その名前を覚えておこうと思います。
なお彼の演奏に関しては、
ベートーヴェンピアノソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」の録音が、
コンサートで聴いた彼の音を彷彿とさせるものがありましたので、紹介しておきます。
よろしかったら聴いてみてください。
https://youtu.be/CJlhmyWoefM