らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【人物列伝】1 伊能忠敬



先日千葉県佐原というところに所用で行ってきました。
この銅像の人は誰でしょう?ちょっと写真が遠いですけども…
まあ白梅のきれいなのはそれなりに映っていますね。


答えは江戸時代の測量家伊能忠敬です。

彼のことをご存じでしょうか。

ごくごく簡略に言うと、日本で初めて測量結果に基づいて日本地図を作成した人です。

彼の略歴を述べますと
18歳の時に佐原の伊能家に婿養子に入り商人として活動する。
50歳の時に家督を長男に譲り隠居。
翌年江戸に出て江戸幕府の天文方高橋至時に師事し、測量・天文観測などを修める。
56歳の時に第1次測量を開始。


少年時代から天文学に興味を持っていたそうですが、
商家に婿養子に入ったため、ずっと夢を温め続けていたんでしょうね。
 
そして50歳にして始めて自分の夢を実現し、測量学・天文学を猛勉強し始めます。
当時は人間五十年の時代ですから、今の感覚でいうと70歳間近で勉強を始めたというところでしょうか。

当時の測量の方法は、今のようにGPSとか光波を飛ばす計測器などありませんから、基本歩幅計測です。
歩幅が一定になるように訓練し、数人で歩数の平均値を出し距離を計算するというものです。
忠敬の場合2歩で1間つまり約1.82mだったそうですから、1歩は約0.91mということになります。
参考に言いますと、畳の長い辺が1間で短い辺は0.5間になっています。

3年間で東日本を測量しそのデータを基に地球全体の外周がおよそ約4万キロであると推測。
この値は、現在計測されている数値の0.1%程度の誤差に過ぎないそうです。

70歳の時東京八丁堀にて全ての測量完了。

その後地図作成作業に入りますが、作業中問題が発生します。
どうしても何枚かの紙に分けて記入された測量結果が一本の線でつながらない、歪みが出てしまう。

なぜだかわかりますか?忠敬の測量に誤りがあったのでしょうか。

答えはその逆で測量結果が極めて正確だったからこそ、歪みが生じ一本の線でつながらなかったのです。
つまり地球は球体ですから、それを平面に投影すると必然的に歪みが生じてしまうのです。
忠敬がいかに正確に測量したかを物語るエピソードです。

その後地図にするために数値修正計算作業に追われますが、73歳死去。

忠敬死後3年後、弟子により大日本沿海輿地全図完成。


彼が十数年かけて歩いた距離は、約4万キロつまり地球一周と同距離との事です。

そして忠敬の墓石には次のような趣旨の文面が彫られているそうです。
「彼は星や暦を好み、測量にはいつも喜びを顔に浮かべて出かけて行った」

情熱を燃やせるものがあるっていうのは、本当に素晴らしいことです。
今の世の中そういうものを見つけられず、
なんとなく生きて、なんとなく生を終えてしまう人も大勢いると思いますが、実に惜しいことです。