らんどくなんでもかんでもR

はじめまして。文学や美術、音楽、そして猫のブログをしています。 よかったら、のぞいてみてくださいね。 Nice to meet you. I write about literature, art, music, and cats.

【プロレス】8 パキスタンの超巨人 ラジャ=ライオン

 

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あれは自分が中学生くらいの時だったと思います。
ある日、朝、学校に行くと、
プロレス好きの友達が自分を待っていたかのように駆け寄ってきて
不安げな顔をして、言いました。
「今度の試合で馬場が死ぬかもしれない…」

えっ…どういうこと?

朝いきなりそんなことを言われたので、
自分はわけがわからなかったのですが、
友達の話によると、こうでした。

パキスタンの空手王と呼ばれる男が
いきなりジャイアント馬場に挑戦状を叩きつけてきた。
なんでも雲をつくような大男で、
ウィリー・ウィリアムス(アントニオ猪木異種格闘技を行った空手家で熊殺しの異名をとる)
を上回る空手の実力者らしい。
その巨体から繰り出す空手技をまともにくらえば、
馬場といえども選手生命を絶たれるダメージ、
下手したらそれ以上のダメージを負ってしまうしれない。

友達はお父さんが買ってきたスポーツ新聞で、
その情報を偶然知ったそうで、
一番に自分に知らせてくれたのです。
後日、続々と追加された情報によると、
身長はジャイアント馬場の209センチを上回る226センチ。

巨体に似合わぬ猛獣のような俊敏な動き。

その他の容貌や具体的な経歴、必殺技については一切が不明。

自分の頭の中で、いやがおうでも
対戦相手の、化け物のような巨躯の空手使いのイメージが日に日に増大化してゆきました。

そしてそれが頂点に達した時、ついに試合の日を迎えたのです。

対戦相手、その名も、パキスタンの超巨人ラジャ=ライオン。


当時の自分の臨場感と同じ気持ちを味わいたい方は、
ここで試合をご覧ください。
まあ後でも全然いいです(^_^;)
冒頭、謎だったラジャ=ライオンの正体がそのベールを脱いだ時、
すでに軽い違和感が(^_^;)

そして、ゴングが鳴り、試合が進むにつれ、ちょっとこれはおかしいと思いました。
この人あんまり空手やったことないんじゃないか(-_-;)

ラジャ=ライオン、パンチやキックをした後、体勢そのままじゃないですか。
攻撃を放った直後の体勢って最も形が崩れていて、
相手から反撃を受けやすい状態なんです。
ですから強豪であればあるほど、攻撃の後、すぐ体勢を元に戻して、
反撃を抑え、次の攻撃に備えるものなんです。
あと蹴りを放った後、バランスを崩して転んでしまうのは、
蹴りを放つ際、力が無駄に入り過ぎているからで、
感覚的に力の入れ具合がつかめていないからだと思うんです。

そして2ラウンドで見せたジャイアント馬場の胸板への水平チョップ。

アナウンサー「ああいう空手の打ち方もあるんですか?」
解説者「うーん、そうですね、(最近)ちょっと練習したんじゃないですかね。」

なぜ最近練習し始めた技を本番で使う(笑)

全体的に試合を見た感じは、
身長が早く伸びすぎた小学生の子供が、お父さんとプロレスごっこをしている…
という風に見えなくもない(^_^;)

そんなこんなで、ラジャ=ライオンは、あっさり倒され、
寝技に持ち込まれると、腕ひしぎ逆十字であっという間にギブアップ(-.-;)

ええっ、何これ…というシラケた空気が会場を支配しようとした瞬間、
絶妙なタイミングでタイガー・ジェット・シンがリングに乱入し、それを救いました(笑)

普通ならば、なんなんだ、このインチキ試合は、と吐き捨て、
二度とプロレスなんて見るものか。なんてことになりそうですが、
そういう態度は正しいプロレスファンのものではありません。

20年以上経った今でも、たまに試合を見返して
「どう考えてもラジャ=ライオン、素人だろう!」
とテレビに向かって繰り返しツッコミを入れる。

これが愛ある正しいプロレスファンの態度なのです(笑)